最新記事
中南米

アメリカの裏庭で中ロが影響力拡大...トランプの「敵たち」は中南米をどう攻めている?

Great Power Chessboard

2025年5月7日(水)13時30分
エリー・クック(安全保障担当)

加速するアメリカ離れ

ロシアもメキシコシティなどの主要都市で、着実にその文化的存在感を強めている、とみるのはイギリスのチャップマン閣外相。「私たちが(中南米諸国と)シェアしたいものとは異なる価値観を提示すること。それが彼らの狙いだ」とチャップマンは警戒する。「こちらもしっかり対抗しないといけない」

ロシアは「非常に長い目で見て動いている」と言ったのはアルゼンチン国防省高官のフアン・バタレメ。イランもベネズエラやボリビアなどで「政治的混乱」を引き起こすべく画策しているという。


実際、イランはこの地域での存在感を高めるために資金をつぎ込み、例えばボリビアでは文化センターの建設を支援している。そのボリビアは2023年に、イランと安全保障上の協定を結んでいる。

中南米諸国は「アメリカか中国か、どちらか一方を選ぶ必要があるとは考えていない」と指摘したのは、米国家情報長官室で西半球を担当するセーラ・マルティネスだ。この地域の国々には「それぞれに異なる喫緊のニーズがあり、それに応えられる国際的なパートナーを求めている。必ずしも(米中の)超大国だけに頼るわけではない」。

マルティネスによれば、もちろん米政府もそういう事情は承知している。そして中国が積極的な投資で経済的な存在感を強め、結果として現地政府の政治的な意思決定を左右するような展開は座視できないと考えている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

インドとパキスタン、即時の完全停戦で合意 米などが

ワールド

ウクライナと欧州、12日から30日の対ロ停戦で合意

ワールド

グリーンランドと自由連合協定、米政権が検討

ワールド

パキスタン、国防相が核管理会議の招集否定 インドに
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノーパンツルックで美脚解放も「普段着」「手抜き」と酷評
  • 3
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦闘機を撃墜する「世界初」の映像をウクライナが公開
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    指に痛みが...皮膚を破って「異物」が出てきた様子を…
  • 6
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 7
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 8
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 6
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 9
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 10
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中