モディ政権「観光業活性化シナリオ」に暗雲...カシミール銃撃事件で報復合戦か
Kashmiri Terror Hits Tourists
1989〜90年にインドからの分離を求めるイスラム過激派の武装組織が反乱を起こして以来、この巡礼を狙ったテロが頻発するようになった。
モディの策略は頓挫
今回のテロも巡礼開始を10週間後に控え、巡礼の参加登録が始まった直後に起きた。
テロ発生の前の週には、今年に入って3カ月余りの間にパハルガムのベイザラン渓谷を訪れた観光客は52万人を超えたと、地元メディアが伝えていた。
だがテロ攻撃でこの地域の観光業が壊滅的な打撃を受けるのは必至だ。既にホテルなどには予約キャンセルの連絡が殺到しているという。
観光業に依存するカシミール地方の経済は武力抗争やテロの頻発にたたられてきた。19年にはナレンドラ・モディ首相率いるインドの現政権が、イスラム教徒が多数を占めるジャム・カシミール州の自治権を剝奪。この地域を政府の直轄地とした。
これに対する抵抗と弾圧が吹き荒れるなか、コロナ禍も手伝って観光客の足はぱったり途絶えた。モディ政権はこの地域の観光業を再興し経済を活性化させることで、自治権剝奪を正当化できると考えていたようだ。
ところが今回のテロでこのシナリオは吹っ飛んでしまった。となると問題はモディがそれにどう対応するかだ。