最新記事
トランプ関税

トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半導体産業の「チョークポイント」

Hard Tech Realities

2025年4月22日(火)17時45分
リシ・アイエンガー、リリー・パイク、クリスティーナ・ルー(いずれもフォーリン・ポリシー誌記者)

しかしエヌビディアのジェンスン・フアンCEOは3月に「リショアリング」、つまり製造拠点の国内回帰は既定方針だと表明している。「これまでも現在も国内生産の準備をしている。関税の影響は、あっても短期的だ。長期的に国内生産を増やす」

そうであれば、米国企業に製造拠点の国内回帰を強いるために関税を利用するトランプ政権の戦略が、少なくとも1つは成功したことになる。ただし中国抜きで世界のハイテク産業のサプライチェーンを再構築するには、数週間とか数カ月の猶予期間だけでは足りない。ハリサスは問う。「(半導体などの)サプライチェーンはひどく複雑だ。2カ月や3カ月で意味のある変化を起こせるものだろうか」


半導体については、民主党バイデン政権も国家安全保障上の懸念を抱き、国産化を進めて中国や台湾への依存を減らそうと努めてきた。しかし、それでも半導体に関税をかけようとはしなかった。半導体の安定的供給なくして今の経済は成り立たないことを熟知していたからだ。

代わりにバイデン政権は古典的な産業政策を選んだ。2022年の通称「CHIPSプラス法」を通じて総額390億ドルの補助金、最大750億ドルの融資と融資保証、そして25%の税額控除を用意し、メーカーに米国内での生産を促した。

効果はあった。CHIPS法成立以来、半導体メーカーが発表した米国内での新規設備投資額は昨年8月時点で約4500億ドルに達していた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア、イラン・イスラエル仲介用意 ウラン保管も=

ワールド

イラン核施設、新たな被害なし IAEA事務局長が報

ビジネス

インド貿易赤字、5月は縮小 輸入が減少

ワールド

イラン、NPT脱退法案を国会で準備中 決定はまだ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中