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米中関係

トランプに媚びずわが道を行く...関税攻撃に「様子見」を決め込む習近平の腹の内

NOT PLAYING TRUMP’S GAME

2025年4月2日(水)16時45分
リリー・パイク(フォーリン・ポリシー誌記者)

「最後まで戦う用意がある」

つまり、中国側は今度の貿易戦争がより広範で長期的なものになることを想定して、じっくりガードを固めている。だから、慌ててアメリカにこびを売ったりはしない。一方で中国側は、多彩な報復手段をちらつかせてアメリカを牽制してきた。2月には、アメリカ産のエネルギーや一部産品に新たな関税を課した。3月10日からは大豆を含む農産物の関税も引き上げた。さらに、独占禁止法違反の疑いでグーグルの調査を開始するなど、特定の米企業を標的とした攻撃もある。アメリカにとって不可欠な鉱物資源の供給を制限する姿勢も見せている。

そして今、中国側はアメリカ政府に対し、これまで以上に挑戦的な姿勢を示し始めた。例えば中国外務省の林剣(リン・チエン)副報道局長は新たな追加関税の発動を受けて「アメリカが望むのが戦争ならば、それが関税戦争であれ貿易戦争であれ、その他のいかなる類いの戦争であれ、われわれは最後まで戦う準備ができている」と、いつになく強気の発言をした。



王毅(ワン・イー)外相も全国人民代表大会の会期中だった3月7日の記者会見で、関税はアメリカにも打撃をもたらすと批判した。その一方で「協力は双方への利益とウィンウィンの関係をもたらす」と和解の可能性を残しつつ、「アメリカが圧力をかけてくるなら中国は断固として対抗措置を取る」とも述べている。

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