最新記事
日本社会

東京の男子高校生と地方の女子の間のとてつもない教育機会の格差

2025年2月26日(水)11時45分
舞田敏彦(教育社会学者)

「何人に1人が東大に入るか」という確率で見ると、衝撃的な数値が出てくる。高校生と東大生の数を1学年あたりにすると、それが分かる。高校生の全数を3で割ると100万2724人、東大生の全数を4で割ると3508人。よって全高校生から東大生が出る確率は、286人に1人となる。<表2>は、これを各グループ別に計算したものだ。

newsweekjp20250226015944-e165563ae50080b09077a5b1e856deeed95d8d41.png


東京居住の男子が東大に入れる確率は「77人に1人」であるのに対し、地方居住女子では「1174人に1人」だ。同じ国内とは思えない格差で、地方の女子が東大に入る確率は宝くじ並みと言っていい。

地方では、女子が浪人をして難関大学を目指すのを許容しないとか、高いお金を出して東京に出すのを好まないとか、当人の能力とは別の事情がいろいろ考えられる。女子学生への家賃補助をしているものの、現状はこの通りだ。東大が全てではないが、ライフチャンスが性別や出身地域によって著しく異なることの好例だ。

今後、東京の有力大学では、地方出身の学生に独自の給付奨学金を支給する大学も増えてくるだろう。地方の優秀な若者の略奪というそしりもあるが、国を動かすリーダー層の出自の偏りが是正され、地方創生、地方におけるジェンダー平等にも寄与する可能性があることも、忘れてはいけない。

<資料:文科省『学校基本調査』(2021年度)
    東京大学学生数
    『東京大学学生生活実態調査』(2021年度)

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

テスラに2.43億ドルの賠償命令、死傷事故で連邦陪

ビジネス

バークシャー、第2四半期は減益 クラフト株で37.

ビジネス

クグラーFRB理事が退任、8日付 トランプ氏歓迎

ビジネス

アングル:米企業のCEO交代加速、業績不振や問題行
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザベス女王の「表情の違い」が大きな話題に
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    オーランド・ブルームの「血液浄化」報告が物議...マ…
  • 5
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 6
    ハムストリングスは「体重」を求めていた...神が「脚…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 9
    すでに日英は事実上の「同盟関係」にある...イギリス…
  • 10
    なぜ今、「エプスタイン事件」が再び注目されたのか.…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 5
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 6
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 7
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 8
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 9
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 10
    オーランド・ブルームの「血液浄化」報告が物議...マ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中