最新記事
シリア情勢

アサド政権崩壊のシリア、社会不安あおる偽情報が拡散...WhatsAppと中国の影響も

2025年2月6日(木)18時01分
「シリア解放機構(HTS)」によるアサド派残党狩りを見守る人々

昨年12月にアサド政権が崩壊したシリアでは、親アサド派や自称「反アサド派」が宗派間の対立をあおり、新生シリアの体制を不安定化させようとデジタル空間で偽情報をまき散らしており、政権移行にとって障害になるとの懸念が広がっている。写真は同国の都市ホムスで、イスラム教スンニ派の武装勢力「シリア解放機構(HTS)」によるアサド派残党狩りを見守る人々。1月2日撮影(2025年 ロイター/Khalil Ashawi)

昨年12月にアサド政権が崩壊したシリアでは、親アサド派や自称「反アサド派」が宗派間の対立をあおり、新生シリアの体制を不安定化させようとデジタル空間で偽情報をまき散らしており、政権移行にとって障害になるとの懸念が広がっている。

専門家によると、ロシア、中国、イラン、イスラエルなどを含めた国内外の勢力が偽情報の拡散や「ナラティブ(物語)の兵器化」に関与していると見られる。


 

NGO「真実と正義のためのシリア人(STJ)」のバッサム・アラハマド氏はトムソン・ロイター財団に「社会の結束に影響を与える重要な問題の1つが偽情報だ」と述べた。偽情報は「物事を不安定化させる手段」となり、シリア全土でコミュニティー間の緊張を引き起こしており、「兵器と同じくらい人々に害を及ぼしている」と危機感を示した。

イスラム教シーア派の少数派「アラウィ派」出身のアサド氏の政権は、イスラム教スンニ派の武装勢力「シリア解放機構(HTS)」が主導する反政府勢力に打倒された。HTSはかつて国際テロ組織のアルカイダと関係があり、米国や国連によってテロ組織に指定されている。

HTSは2016年にアルカイダとの関係を断ち、政権掌握後は宗教的少数派の保護を打ち出している。しかし宗派間の緊張は依然として強く、アサド氏を支持していたイランやロシアのほか、中国やイスラエルといった外国勢がオンラインで恐怖をあおっていると見られる。

独立系ファクトチェック機関「ベリファイ・シリア」の広報担当、ズヒール・アルシマレ氏は「親アサド派、イラン、中国などの勢力が巧妙に組織したキャンペーンを展開しており、デジタルプラットフォームを使いナラティブを操作してコミュニティを分断し、民主的な取り組みを弱体化させている」と話した。偽のプロフィール、チャットボット、人工知能(AI)生成の架空人物などを駆使したキャンペーンを通じて偽情報が流布しているという。

資産運用
「高市トレード」に「トランプ関税」......相場が荒れる今こそ投資家が目を向ける「世界通貨」とは
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、米国産大豆追加購入の可能性低下も 関税違憲判

ビジネス

トランプ関税違憲判決、米エネ企業のコスト軽減 取引

ワールド

米USTR、新たな301条調査開始へ 主要国の大半

ワールド

トランプ氏、10%の代替関税に署名 最高裁の違憲判
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由...「落葉帰根」派も「落地生根」派も
  • 4
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 5
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 6
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 7
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 8
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 9
    「窓の外を見てください」パイロットも思わず呼びか…
  • 10
    ディープフェイクを超えた「AI汚染」の脅威──中国発…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 6
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 9
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 10
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中