トランプ支持者の「優しさ」に触れて...ワシントンで見た、反対派との議論で「溝が埋まる」瞬間【トランプ集会ルポ】

A RECONCILIATION

2025年1月29日(水)15時03分
岡田光世(ニューヨーク在住作家)

「私たちの会話に、2人を誘ってみない?」と私が提案する。

「What!?」と3人が声を上げる。


「あの人たちが同意したら、話してみない? civil discussion(互いに尊重し合う、冷静な議論)を」

私が待ち切れずに駆け寄ろうとすると、「ちょっと、まずはチェックインさせてあげてよ」と彼女たちが笑う。

トランプ支持者の2人は驚いた様子だったが、「いいよ。でも何を話せばいいんだろ」と不安そうな表情でやって来た。

2人には、女性の隣に座ってもらった。ついさっきまで「I HATE DONALD TRUMP」のTシャツを着ていた女性と、トランプ支持者が肩を並べている。

1つのテーブルを囲んで自己紹介し、カジュアルに言葉を交わし始めた。私たちの笑い声や議論を耳にし、「僕も参加してもいいかな」とさらに何人かのトランプ支持者と反トランプ派が加わった。

「人工妊娠中絶について、君たちは女性の権利を叫んで『My Body, My Choice(私の体は私のもの)』と言うけれど、『君の体は君のもの』だけじゃない。子供の体でもある」

「いつの時点で『命』と見なすかで、考え方が変わってくると思う」

「僕にとっては、それは受胎の時だ。問題がなければ、そのまま成長するんだから」

「今、国の制度で差別されているのは、白人、特に白人男性だ。女性やマイノリティーは守られる」

「そうかしら。黒人に対して人種隔離政策が採られていたのは、たった数十年前よ。歴史を深く知れば知るほど、白人がしてきたことがあまりにもひどくて、自分が白人であることに誇りを持てないの」

「過去は過去だ。白人がしてきたプラスの面にも目を向けるべきだよ」

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