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荒川河畔の「原住民」(17)

生活保護はホームレスを幸せにするか、それを望んでいるのか...福祉国家・日本の現実

2024年12月28日(土)15時50分
文・写真:趙海成

政府にお願いしたいのは、今後もより一層、施設運営者に対する審査や監督に力を入れること。福祉施設をホームレスたちが入りたくなるような温かい家にすることが望ましいと思う。

刑務所を出た人を支援する施設もある

施設関連の仕事をしている知人の話によると、刑期が満了して釈放された人が何人か、適切な仕事が見つからなかったために荒川河川敷一帯に足を踏み入れ、ホームレスの生活を始めたという。

彼らは長い刑務所生活を経てやっと自由を取り戻したが、家族との関係が切れている人もおり、頼れる人がおらず、孤独で、受け入れられる場所を見つけるのは難しい。

政府も彼らの状況をよく知っている。そのため、彼らを自立させて、できるだけ早く社会に溶け込むよう促すため、更生保護・自立支援のための施設に住まわせ、仕事(建設現場の力仕事など)を探すのにも協力する。

つまり、食事や住まいを提供し、仕事探しも支援しているわけだ。私からすれば、出所後にこのような待遇を受けられるのはよいことに思える。

しかし、物事はそんなに簡単ではない。長年鉄格子に閉じ込められてきた人にとって、自由の獲得はいかに難しいか。もし彼らが政府の統制下で集団生活をするならば、刑務所での生活と何が違うのだろうか。

だから、刑務所を出た人たちの中に、政府が提供する施設を放棄して放浪の道に進む人がいるのかもしれない。一方、刑務満了者は生活保護を申請することもできる。

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