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荒川河畔の「原住民」(16)

ホームレスはどうやって「ホームレスになる」のか。誰であろうと、その可能性はある

2024年12月21日(土)15時05分
文・写真:趙海成

ホームレス

ホームレスの中には、以前はさまざまな仕事をしていた人たちがいる

会社の倒産、リストラ......それぞれの理由

私が取材をしているのは荒川河川敷に暮らすホームレスだが、他の地域のホームレスたちも当然、それぞれに事情を抱えている。

「下町ぶっとびTV」というドキュメンタリーのYouTubeチャンネルには、給料をもらえず、会社を転々として、ホームレスになった江戸川河川敷のホームレスが登場する。

最初は大工に弟子入りをしたが、親方に借金があって、弟子に給料を払えなくなった。次に入った会社の社長は元暴走族で、いろいろと問題があり、会社がつぶれた。転職して型枠大工の仕事を始めたが、今度は社長が酒を飲み過ぎて死んでしまったそうだ。その後は再就職をあきらめ、ホームレスになることを選んだという。

一方、20年以上前の日本のテレビのドキュメンタリーで、新宿の親子ホームレスを取り上げたものがあった。親子は栃木県のホテルで一緒に働いており、父はそこの副支配人も務めていたが、息子は軽い知的障害があった(母は息子が3歳の時に離婚しており、家を出ている)。

親子は共にホテルにリストラされ、家賃が払えなくなって、やむなく上京する。東京の親戚を頼ったが、結局、夜はシャッターが降りた後の階段の踊り場で過ごし、昼は飲食店の裏に捨てられていた食べ物で空腹を満たす生活になったという。

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