最新記事
ジョージア

【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、何が起きているのか?...伝えておきたい2つのこと

2024年12月20日(金)19時45分
ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)
ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使

ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使 Kazuki Oishi/Sipa USA-Reuters

<ジョージアに対する批判的な報道が増えているが、それを利するのは誰か?>

ジョージアは現在、一世一代の難局を迎えている。

「ジョージアはEU加盟路線を放棄したのか」「ジョージアの与党は親ロシア派だったのか」などの多くの声とともにジョージアの状況をニュースで見聞きされた方も多いと思うが、状況がよく分からない面もある。事実、私の見る限り、日本国内では専門家からのコメントや分析が明確にはなされていない。

どの国にも言えるが、特に日本はしっかり時系列を追って慎重に報道するため、突然と沸いた、今回のジョージアの事態に困惑しているのだと思う。だからこそ、「スタンバイモード」で状況を見守り、すぐに結論を出すことを控えているのだろう。


 

実は正直なところ、私自身も状況を完全に分かり切っているわけではない。これが明確に分かれば、ジョージアは今の状況にならなかったのではないかと思う。

しかしながら、今回の事態が起きたことにあたってのキーポイントを、私の目線から整理したい。そして、最後には出口のカギがどこにあるのかについても考察したい。

今回の事態の流れの中で重要なのは、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻がある。このことによって、各国はロシアとウクライナのどちらにつくかを明確にすることを迫られた。

中でも、ロシアに対して制裁を行なうかどうかは「踏み絵」になっている。それは日本も同様で、ロシアとは特にエネルギー資源面で深い関わりがあったにもかかわらず、極めて早い段階で「ウクライナ支援、ロシア制裁」へ明確に踏み切っている。

そんな中、ジョージアの姿勢は注目を集めていた。というのも、ジョージアは(どこよりも先に!)2008年にロシアに侵略され、現在も国土の20%をロシアに占領されているからだ。

ジョージアが取った決断は当然の成り行きでもあるが、ウクライナ支持だった。ジョージア政府はどこよりも早くウクライナに対する人道支援を行い、また国際場裡におけるウクライナ支持に協調した。

しかし、ジョージアはEUにもNATOにも加盟していない。そして領土の20%をロシア軍が実効支配しているため、常にロシアからの脅威に晒されている。現在、ロシアとは断交してはいるものの、歴史的に人の移動が活発であり、経済関係もある。だからこそ、否が応でも、ロシアとの関係において、バランスを図らなければならないのだ。

企業経営
ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パートナーコ創設者が見出した「真の成功」の法則
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア高官、ルーブル高が及ぼす影響や課題を警告

ワールド

ゼレンスキー氏、和平協議「幾分楽観視」 容易な決断

ワールド

プーチン大統領、経済の一部セクター減産に不満 均衡

ワールド

プーチン氏、米特使と和平案巡り会談 欧州に「戦う準
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 2
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 3
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止まらない
  • 4
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 5
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯…
  • 6
    もう無茶苦茶...トランプ政権下で行われた「シャーロ…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    22歳女教師、13歳の生徒に「わいせつコンテンツ」送…
  • 9
    【香港高層ビル火災】脱出は至難の技、避難経路を階…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中