尹錫悦は「何を間違えた」のか?...お粗末すぎた大統領の自作自演クーデター計画を解説

OUR DEMOCRACY IS RESILIENT

2024年12月10日(火)13時51分
ネーサン・パク(米「責任ある外交に関するクインシー研究所」研究員)

弾劾には議会(定員300)の3分の2以上の賛成が必要だ。尹の与党は108人の議員を擁し、3分の1をわずかに上回っている。建前上、与党が大統領を支持するのは間違いない。しかし18人の議員が既に戒厳令解除に賛成票を投じている。弾劾決議でも8人以上の造反者が出る可能性は高い。

尹が不名誉な弾劾より辞任を選んでも、たぶん起訴は免れない。韓国には過去3代の大統領のうち、保守系の李明博(イ・ミョンバク)と朴槿恵(パク・クネ)を起訴し、投獄した輝かしい歴史がある。


この先がどう転ぼうと、これだけは言える。韓国の民主主義はそう簡単に負けない。40数年ぶりの戒厳令はたった6時間で、議会の投票によって解除された。一発の銃弾、一滴の血も流れなかった。一発の銃弾でも放たれていたら流れは変わっていただろう。

しかし抗議の民衆は民主主義の規範に従っていたし、軍隊に包囲された議員たちも粛々と投票した。これが民主主義。兵士たちも、その重さを感じていた。

韓国の保守勢力にとっては恥の上塗りとなった。自分たちの担いだ朴大統領を弾劾裁判で失ったのが2017年。家賃の高騰に対する国民の不満を追い風に、奇跡的に大統領府を奪還したのが2022年。そこへ今度の、自作自演のクーデター未遂。

この国の保守勢力はしょせん軍政時代の独裁者の末裔で、何かあればすぐに隠していた専制の牙をむく。そう言われても抗弁できまい。

悲しいかな、保守派の中でもそれなりに分別のある議員たちはまたしても、自分たちの担いだ大統領を弾劾するしかないのだ。

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