最新記事
対中関係

まさに「棚ぼた」の中国...韓国「戒厳令」がもたらした「恩恵」とは?

How China benefits from chaos in US-allied South Korea

2024年12月6日(金)10時35分
マイカ・マッカートニー
ソウルで行われたキャンドルナイト

12月5日、ソウルで尹大統領の突然の戒厳令布告を非難する市民らがキャンドルナイトで辞任を求めた REUTERS/Kim Kyung-Hoon

<「中国式民主主義」の優位性の「裏付け」に? アメリカ政府が尹大統領の行動を強く非難しなかったことが、じわじわと響いていく>

韓国で尹錫悦大統領が12月3日夜に「非常戒厳(戒厳令)」を宣言したことで生じた政治的混乱は、この非常戒厳が数時間後に解除されたことにより短期間で収束した。

だが今回の騒動を受けて、韓国の安定性と中国がこの地域で掲げる目標への影響を疑問視する声が上がっている。

5年間の任期の折り返し地点を迎えた尹は、支持率の急落と野党が多数派を占める国会の強い抵抗に直面してきた。

【関連動画】韓国・尹大統領による「非常戒厳(戒厳令)」 を見る


 

尹は今回の非常戒厳について、北朝鮮に同調する野党議員らが政府を無力化させることを狙った「反国家的な行動」に関与していると非難し、自らの決定を擁護した。野党側はこれを根拠のない権威主義的な主張だと一蹴している。

1980年以来初めてとなった非常戒厳の宣言を受け、韓国の国会はすぐに本会議を開き、同宣言の解除を要求する決議案を可決。尹は4日早朝に非常戒厳の解除を発表した。野党6党の議員は尹による「軍事クーデターの試み」を非難し、国会に尹の弾劾訴追案を提出した。

今回の騒動は、アメリカ式の民主主義が本質的に混乱をはらみ効果的なものではないという中国の論調に「裏付け」を与えるものだ。

中国の当局者たちは頻繁に中国共産党の統治と中国の地政学的ライバルであるアメリカを対比させ、自分たちの中央集権的な統治システムこそ安定しており効果的だと主張している。

企業経営
ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パートナーコ創設者が見出した「真の成功」の法則
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

世界の投資家なお強気、ポジショニングは市場に逆風=

ワールド

ガザ和平計画の安保理採択、「和平への第一歩」とパレ

ワールド

中国の若年失業率、10月は17.3%に低下

ワールド

ツバル首相が台湾訪問、「特別な関係を大切にしている
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 9
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 10
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中