最新記事
韓国

韓国ユン大統領、突然の戒厳令発表 国会が解除要求可決、6時間余で事態収束へ

2024年12月4日(水)10時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
韓国国会前

韓国国会前には戒厳令の撤回を求める市民が集まり、警官らとにらみ合い騒然とした状況に REUTERS

<与党からも批判が出た戒厳令で、大統領弾劾圧力は強まるか>

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は3日午後10時過ぎに非常戒厳令を宣布したが、国会が解除要求を可決。ユン大統領は4日早朝に戒厳令の解除を発表した。韓国における戒厳令は1979年10月以降45年ぶりのことで、1987年の民主化以降、初の事態だった。大統領夫人のブランドバッグ収賄疑惑などで支持率が20%台に゙低迷するユン大統領に対して、弾劾圧力がさらに加速することが予想される。韓国メディアYTN、連合ニュースなどが速報した。

 
 

ユン大統領は4日早朝、4時30分ごろ、龍山(ヨンサン)の大統領室で緊急の国民向け談話を行い、「少し前に国会の戒厳解除の要求があって、戒厳に投入された軍を撤退させた。すぐに閣議を通じて国会の要求を受け入れ、戒厳を解除するだろう」と話した。さらに、「ただ、閣議を召集したが、未明の関係でまだ議決定数が満たされなくて、でき次第、直ちに戒厳を解除する」と付け加えた。そして、「しかし、度重なる弾劾と立法壟断、予算壟断で国家機能を麻痺させる非道な行為は直ちに中止してくれることを国会に要請する」と、あくまで戒厳令の問題は野党が支配する国会にあることを強調した。

突然の戒厳令発表からひと晩での解除、その流れを追う

3日夜、戒厳令を宣布した国民向け談話の中でユン大統領は「共に民主党による立法の独裁は予算弾劾までも躊躇しなかった。これは自由大韓民国の憲政秩序を踏みにじり、憲法と法によって築かれた正当な国家機関を錯乱させるものとして内乱を画策した明白な反国家行為だ。今、我が国会は、犯罪者集団の巣窟になっており、立法独裁を通じて国家の司法ㆍ行政システムを麻痺させ、自由民主主義体制の転覆を企図している」と野党多数の国会を批判。「この非常戒厳令を通じて亡国の奈落の底に落ちている自由大韓民国を再建して守る。このため、私は亡国の元凶、反国家勢力を必ず一掃する。これは体制転覆を狙う反国家勢力のテロから国民の自由と安全、そして国家持続可能性を保障し、未来世代にきちんとした国を譲るため不可避な措置」と強調した。

談話発表後、ユン大統領はパク・アンス陸軍参謀総長を戒厳司令官に任名した。パク陸軍参謀総長は「戒厳司令部の布告令(第1号)」を発表し、「国会と地方議会、政党の活動と政治的結社、集会、デモなど一切の政治活動を禁ずる」と発表。さらに、「布告令違反者に対しては、大韓民国、戒厳法第9条(戒厳司令官特別措置権)によって令状なしに逮捕、拘禁、家宅捜索をすることができ、戒厳法第14条(罰則)によって処断する」と付け加えた。

ガジェット
仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、モバイルバッテリーがビジネスパーソンに最適な理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、カンボジアとタイは「大丈夫」 国境紛争

ワールド

コンゴ民主共和国と反政府勢力、枠組み合意に署名

ワールド

米中レアアース合意、感謝祭までに「実現する見込み」

ビジネス

グーグル、米テキサス州に3つのデータセンター開設
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 6
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 9
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中