アメリカの歴史に名を残す「トランプはこの100年で最も力強い政治家に」地滑り的勝利には理由がある

LIVING IN THE AGE OF TRUMP

2024年11月18日(月)17時18分
サム・ポトリッキオ(本誌コラムニスト、ジョージタウン大学教授)

個々の暴言や放言の影響を詮索するよりも、これらの質問に対する答えをしっかり見ているほうが選挙戦の流れを的確に読み取れる。そもそも、お騒がせコメディアン兼コメンテーターのジョー・ローガンが主宰するポッドキャストや起業家イーロン・マスクのX(旧ツイッター)への投稿に触れる人たちは、ニューヨーク・タイムズの購読者の30〜40倍もいる。

民主党は既存の権威あるメディアの尊敬を勝ち取り、お墨付きを得ており、トランプや共和党員ほど否定的に報道されないという点で、共和党よりも優位だ。だが主流メディアの影響力の範囲が縮小しているため、この優位性は低下している。


いくら地上波テレビのトーク番組で有名コメディアンがトランプを痛烈に風刺しても、今は口コミで広がった右派のポッドキャストを見たり聴いたりする人のほうが多い。何千人ものスタッフを擁するCNNのような組織より、一個人にすぎないジョー・ローガンの発信力のほうが何倍も強い。そんな時代だ。

⑤投票行動は変わりやすい

私たちは選挙結果を過剰に解釈し、一般化しがちだ。今のところ、マスメディアの論評は民主党の「惨敗」に集中している。既にハリスは、4年前に国家への反逆に手を貸した犯罪者相手の選挙でしくじった敗者として歴史のごみ箱に捨てられている。しかし忘れるなかれ。彼女には最後まで、50%の確率でアメリカ史上初の女性大統領になる可能性があったのだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米スタバ労組、ブラックフライデーにスト拡大 賃上げ

ビジネス

カナダGDP、第3四半期は年率2.6%増 予想大き

ワールド

米国務省、アフガン国籍者へのビザ発給停止

ワールド

スイス国民投票、超富裕層への相続税強化案を大差で否
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業界を様変わりさせたのは生成AIブームの大波
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批判殺到...「悪意あるパクリ」か「言いがかり」か
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    「世界で最も平等な国」ノルウェーを支える「富裕税…
  • 6
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中