最新記事
人質

ハマス襲撃から半年、生存している人質は何人いるのか

How Many Israeli Hostages Still Held After 6 Months

2024年4月8日(月)16時55分
デービッド・ブレナン

ハマス襲撃から半年、いまだ帰らない人質解放を求めるイスラエルのデモ(4月7日、イスラエル議会前) REUTERS/Ronen Zvulun

<イスラエル軍の激しい空爆や砲撃も、自国の人質の命を最優先しているようには見えない>

イスラエルは、昨年10月7日のハマスによるイスラエル侵攻に対する報復としてガザ地区に攻撃を仕掛けているが、今のところ、ハマスに拉致された数多くの人質を解放することに成功していない。圧倒的な物量で攻撃を続けるイスラエル軍の前に、ガザ地区は崩壊寸前だが、多くの人質の所在と状況は不明のままだ。

政府データをもとにした最新の数字ではハマスによる奇襲では、250人以上が拉致され、1163人が死亡したとAFP通信は伝えている。AP通信は、ガザ保健省のデータから、その後のイスラエルによるガザ攻撃で3万3000人近いパレスチナ人が死亡したと報じた。

10月7日のハマスの襲撃は暴力と混乱に満ちていたため、正確な数字を確認することは難しい。イスラエル国防軍(IDF)がガザ地区で作戦を展開している最中でもあり、地区内の多くの人質の状況は依然明らかになっていない。

ハマス側は、イスラエル国防軍の攻撃で数人が死亡したと主張している。ハマスは10月7日の襲撃以前からイスラエル人数名を人質として拘束していたが、彼らがまだ生きているかどうかはわからない。

IDFの報道官は5日、これまでに123人の人質が解放され、134人(うち外国人11人)がまだ拘束されている、と本誌に語った。

生存する人質は100人前後?

人道的な理由で解放された人質や、イスラエル軍の作戦によってガザ地区内で解放された人質は少数で、多くは11月に7日間の停戦と捕虜交換の一環として解放された。

残った人質の数については、さまざまな推測がある。ニューヨーク・タイムズは今年2月、ガザ地区にはまだ136人の捕虜がいると報じ、イスラエルの諜報部員の言葉を引用して、このうち少なくとも30人はすでに死亡している可能性があると伝えた。

ウォールストリート・ジャーナルは3月、ガザ地区に残っている人質は130人で、そのうち少なくとも34人は死亡したと見られると報じた。

人質の解放はイスラエルの戦争の中心的な目標だが、IDFによるガザ地区への激しい空爆や、ハマスがしばしば人質拘束にも使う地下トンネルへの激しい砲撃が、人質の命を危険にさらしていることは観測筋にしばしば指摘されている。

ハマス側は、10月7日以降の人質数名の死亡はイスラエル軍の空爆が原因だと主張している。ガザ地区では12月にイスラエル軍によって3人の人質が射殺された。

人質の運命は、なかなか進まないイスラエルとハマスの停戦交渉の行方次第だ。ハマスは残りの人質全員を解放する条件として、恒久的な停戦とイスラエル軍の撤退、さらにイスラエルの刑務所に収監されているパレスチナ人囚人の解放と、避難中のガザ住民全員の自宅への帰還を要求している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

FRB議長、QT停止の可能性示唆 「数カ月以内」に

ビジネス

トランプ氏、中国との食用油取引打ち切り検討

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、米中通商懸念が再燃

ビジネス

米ボストン連銀総裁、追加利下げ支持を再表明 雇用リ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 5
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 6
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 7
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 8
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 10
    あなたは何型に当てはまる?「5つの睡眠タイプ」で記…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中