最新記事
トランプ「金融詐欺」

保証金減額でもトランプの綱渡りが続く理由──預金口座や不動産の差し押さえリスクは続く

Letitia James fires back after Donald Trump's bond reduction

2024年3月26日(火)15時35分
ナタリー・ベネガス
ニューヨーク州司法長官レティシア・ジェームズ

トランプと真っ向から戦うニューヨーク州司法長官レティシア・ジェームズ(2月16日) REUTERS/David Dee Delgado

<ニューヨーク州司法長官は、控訴のための保証金が減額されても「金融詐欺に対する責任を問われていることに変わりはない」とトランプに噛みついた>

ドナルド・トランプ前米大統領が金融詐欺をはたらいたとしてニューヨーク州地裁が3月25日までに4億5400万ドルの支払いを命じていた問題で、同州の控訴裁判所が控訴に必要な保証金を大幅に減額する判断を下し、同州のレティシャ・ジェームズ司法長官が喜ぶトランプに嚙みついた。

「ドナルド・トランプ氏が依然として、驚くべき詐欺行為に対する責任を問われていることに変わりはない。裁判所は既に、長年にわたって自己と一族の私服を肥やすために資産価値を水増しする詐欺行為に関与してきたことを認定している。トランプ氏とほかの複数の被告に対する4億6400万ドル(プラス利息)の制裁金支払い命令は依然として有効だ」とくぎを刺した。


 

4億ドル超の制裁金

ジェームズは、トランプが融資や保険の条件を有利にするため銀行や保険会社に提出する報告書の中で、不動産などの資産価値を水増し報告していたと判断。トランプと2人の息子に対して、不正利益の返還を求める民事訴訟を起こしていた。

【写真】「世界最高峰プロポーション」...米スーパーセレブ2人が、魅惑のドレス姿で見せた大迫力「美の曲線」

ニューヨーク州裁判所のジェームズ・エンゴロン判事は2月、ジェームズの主張を認め、トランプに制裁金4億ドル超の支払いを命じた。さらに同州内での事業運営を3年間禁止する判断を下した。トランプは現在も無実を主張している。

トランプは州に息子2人の不正利益返還分も含め4億6400万ドルの支払い義務を負っており、控訴にあたって納付が必要な保証金を必死で集めようとしてきた。保証金の支払いを行わずに控訴することも可能だが、その場合は控訴期間中に資産が差し押さえられるのを防ぐために、2割り増しの保証金を納付しなければならず、その期限が25日に設定されていた。

大幅減額と期限延長

トランプの弁護団は先週、保証金を確保できなかったと発表。「あらゆる手を尽くしたが、被告が支払いを命じられた金額の保証金を確保することができなかった。現状では、控訴手続きに必要な4億6400万ドルの保証金を確保することが実質的に不可能だ」と述べた。

だがニューヨーク州控訴裁判所は25日、保証金を1億7500万ドルへと大幅に減額するというトランプの要求に近い決定し、納付期限も10日間延長した。ジェームズはこの決定を受け、それでも「トランプ氏が驚くべき詐欺行為の責任を問われていることに変わりはない」とクギを刺した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米韓制服組トップ、地域安保「複雑で不安定」 米長官

ワールド

マレーシア首相、1.42億ドルの磁石工場でレアアー

ワールド

インドネシア、9月輸出入が増加 ともに予想上回る

ワールド

インド製造業PMI、10月改定値は59.2に上昇 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中