最新記事
アメリカ大統領選挙

米大統領選挙後の近未来を予測「もしトランプが再選したら」その時、日本はどうなる!?

IF TRUMP WINS

2024年3月21日(木)20時54分
サム・ポトリッキオ(本誌コラムニスト、ジョージタウン大学教授)

newsweekjp_20240321035923.jpg

トランプは大統領選を有利に進めるために自身のイスラエル政策をあえて曖昧に?(ガザ地区に進軍するイスラエル軍の戦車) AMIR COHENーREUTERS

イスラエル

トランプが当選することになれば、イスラエル支持の姿勢に反発してバイデンに背を向けた若い世代の動向が決め手になったと言われそうだ。

いま世論調査でトランプが先行している大きな要因は、一部の調査によると若者の支持率でバイデンを6ポイント上回っていることにある。

今までこの層の支持率はおおむねバイデンのほうが10ポイント以上高かったことを考えると、これは驚異的なことだ。

トランプ自身はパレスチナ問題に関してイスラエル側の立場に沿った発言を繰り返してきた一方で、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を厳しく批判してもいる。これまでの言動を基準に、トランプが2度目の政権でどのような中東政策を実行するかを判断することは難しい。

しかし、私が意見を交わした元米政府当局者の言葉を借りれば、トランプは無知な道化というよりも、狡猾な選挙の天才だ。

若い世代のバイデン離れの流れを止めないために、あえて自身のイスラエル政策を曖昧にしていると、この人物はみている。

日本

newsweekjp_20240321035856.jpg

1期目にトランプと良好な関係を築いて日米関係の緊迫化を防いだ安倍のような指導者は現れるか KEVIN LAMARQUEーREUTERS

科学的研究によると、人が好む音楽は、高校時代に親しんだ曲である場合が非常に多いという。

私はこの法則の政治版を提唱したい。ある人の外国に対する姿勢は、主としてその人が中年期に差しかかる時期に形づくられると、私は考えている。

トランプは1987年、41歳の時、アメリカの有力紙に日本批判の全面広告を掲載したことがある。

1期目の日米関係は、安倍晋三首相(当時)がトランプを心理的にうまくコントロールしていなければ、もっと緊迫していたに違いない。

端的に言うと、トランプは日本が好きではない。

それでも、故・安倍への親しみの感情と、日本政府の防衛力強化の動きを考慮すると、2期目にも日米関係がそれほど深刻な状況に陥ることはないと、私は考えている。

しかし、トランプの日本への不信感は根深い。意に沿わない日本側の政策や発言に逆上したり、中国やロシアの入れ知恵で日本への反感を爆発させたりすることはあり得る。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送-イスラエル、ガザ南部で軍事活動を一時停止 支

ワールド

中国は台湾「排除」を国家の大義と認識、頼総統が士官

ワールド

米候補者討論会でマイク消音活用、主催CNNが方針 

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、22年1月以来の低水準
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:姿なき侵略者 中国
特集:姿なき侵略者 中国
2024年6月18日号(6/11発売)

アメリカの「裏庭」カリブ海のリゾート地やニューヨークで影響力工作を拡大する中国の深謀遠慮

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「珍しい」とされる理由

  • 2

    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆発...死者60人以上の攻撃「映像」ウクライナ公開

  • 3

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 4

    メーガン妃「ご愛用ブランド」がイギリス王室で愛さ…

  • 5

    米モデル、娘との水着ツーショット写真が「性的すぎ…

  • 6

    FRBの利下げ開始は後ずれしない~円安局面は終焉へ~

  • 7

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 8

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    「ノーベル文学賞らしい要素」ゼロ...「短編小説の女…

  • 1

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 2

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車の猛攻で、ロシア兵が装甲車から「転げ落ちる」瞬間

  • 3

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思っていた...」55歳退官で年収750万円が200万円に激減の現実

  • 4

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

  • 5

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 6

    毎日1分間「体幹をしぼるだけ」で、脂肪を燃やして「…

  • 7

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 8

    カカオに新たな可能性、血糖値の上昇を抑える「チョ…

  • 9

    「クマvsワニ」を川で激撮...衝撃の対決シーンも一瞬…

  • 10

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 4

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…

  • 5

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 6

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 7

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 9

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中