最新記事
米大統領選

トランプ支持者は噓をつく? もしトランプが4件の裁判で有罪になったら...

Are Voters Just Lying?

2024年3月3日(日)16時22分
ベン・マティスリリー

いなかった「隠れトランプ支持者」

CNNによれば現在、共和党支持者の50%がトランプによる2020年大統領選の結果を覆す試みを非倫理的または違法だったと見なしている。その一方で、70%以上がトランプは共和党の大統領候補になるべきだと思っているという調査結果が頻繁に伝えられる。

世論調査に回答する有権者は「トランプが有罪になったら支持しない」と言わなくてはならないと、何らかの理由で思っているのではないか?

その点に関係するのが「隠れトランプ支持者説」だ。2016年の大統領選では、世論調査で劣勢だったトランプがヒラリー・クリントンに勝利した。その時、実は多くの人がトランプを支持していながら、社会的な体裁を考えて公にすることをためらい、調査でトランプ支持だと言わなかったのではないかという見方が浮上した。

だが選挙後に全米世論調査協会が数百件の世論調査のデータを精査し、「隠れトランプ支持者」が存在した証拠はないと結論付けている。

そして、この調査に関わった専門家の一部は、今年の選挙前にトランプが有罪になった場合、本当に世論調査に表れているほど支持率は下がるのかと疑問視している。

「『トランプが有罪になった場合でも彼に投票するか』という仮定に基づく質問はよくない」と、米マーケット大学法科大学院の世論調査責任者チャールズ・フランクリンは指摘する。「起こらないかもしれない状況でどう行動するかを予測させると、人はその状況の影響を大げさに評価する傾向が強い」ためだという。

別の選択肢も見当たらず

世論調査機関ユーガブのマーク・ブルメンサルは、トランプのケースを考える上で参考になるかもしれないとして、1998年に当時のビル・クリントン大統領が弾劾訴追された際の世論調査を引き合いに出した。

クリントンが不倫問題で偽証したことを理由に米下院が弾劾訴追案の採決を行う直前、CBSは世論調査を実施し、クリントンはスキャンダルを理由に辞任すべきかと尋ねた。この調査では、クリントンは下院に訴追されたら辞任すべきかとも尋ねた。

すると回答者の約70%が「辞任すべきではない」と答え、残りの約30%が「辞任すべき」と答えた。「辞任すべきではない」と回答した人の一部は、弾劾訴追されれば辞任すべきだという考えを示した。その数は、全回答者の10%を上回っていた。

間もなく米下院がクリントンを弾劾訴追したため、それによって「辞任すべき」と考える有権者が本当に増えたかどうかを検証できた。すると調査とは異なり、「辞任すべき」と考える有権者は増えず、約30%にとどまっていた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン氏のウクライナ占領目標は不変、米情報機関が

ビジネス

マスク氏資産、初の7000億ドル超え 巨額報酬認め

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ

ワールド

ベネズエラ沖で2隻目の石油タンカー拿捕、米が全面封
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 6
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 7
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 8
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    ウクライナ軍ドローン、クリミアのロシア空軍基地に…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中