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「ウィリアム皇太子は身勝手」...ヘンリー王子側からの「新たな暴露本」にチャールズ国王の憂鬱は終わらない

King Charles’ Next Crisis

2024年1月12日(金)14時45分
ジャック・ロイストン(英王室担当)

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ヘンリー夫婦に長男が生まれる際、肌の色を懸念した人物は2人いたという DOMINIC LIPINSKIーPOOLーREUTERS

「つなぎ」の王と呼ばれ

『エンドゲーム』が描く国王とその世継ぎは、互いにすさまじい対抗心を燃やす。

22年にウィリアムとキャサリン夫妻のカリブ海諸国歴訪が訪問先で抗議活動を引き起こして散々な結果に終わると、国王は「他人の不幸は蜜の味とばかりに喜んだ」。

ウィリアムも負けてはおらず、自分の道を行くつもりだと帰国後に発言した。これをチャールズのある側近は「無礼」、別の側近は「もってのほかだ」と非難した。

ウィリアムも王室職員の多くもチャールズを「つなぎ」の国王、エリザベスの治世からウィリアムの治世への「橋渡し役」と見なしていると、スコビーは主張する。

とはいえチャールズは現在75歳だから、あと20年は王位にとどまるかもしれない。そしてスコビーの見るところ、ウィリアムは跡を継ぎたくて既にうずうずしている。

「王室は長く厳しい冬を迎えつつある。現国王の治世は今後20年続くかもしれず、当面歴史に残るようなイベントはない。在位の節目を祝うジュビリーも結婚式も子供の誕生もない。王室はそんな冬の時代をどう乗り切るのか。

過去の王室は国民の関心を引き付けるこうした華やかな行事に頼ることができたが、これからは本質で判断される。仕事ぶりに注目がいく。王室は何をするのか。どんな影響力を発揮するのか」

王室が人種差別などの難しい問題を突き付けられるなか、今後のカギを握るのはウィリアムとチャールズのライバル関係だとスコビーは考える。

多様性を欠く王室の在り方や奴隷制に関与した歴史に対する及び腰な姿勢を、『エンドゲーム』は批判する。奴隷制との関わりを詳解し、メーガンの処遇にも触れる。

「題名を『エンドゲーム』(終局、終盤戦の意)とした理由を聞かれるが、私は王室が終わったとは考えていない。だが終わる可能性はあると思う」と、スコビーは言う。

「どうなるかは王室次第。社会でどれだけ存在意義を発揮できるかによるが、ヨーロッパでは一般に王室の重要性や存在感が薄くなっており、英王室は今後私たちが知る王室ではなくなるかもしれない」

王室にとって大きな障害となるのが王と皇太子の「身勝手な思惑、エゴ」だと、スコビーは指摘する。「2人はやられたらやり返している感じだ。最近も注目度の高い公務をバッティングさせ、潰し合っている」

とはいえウィリアムの資質に疑問はないと言う。

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