最新記事
英王室

「ウィリアム皇太子は身勝手」...ヘンリー王子側からの「新たな暴露本」にチャールズ国王の憂鬱は終わらない

King Charles’ Next Crisis

2024年1月12日(金)14時45分
ジャック・ロイストン(英王室担当)

「王室の職員は一丸となってウィリアムを支えている。非常に有能で現代的な君主になると信じ、多大な期待をかけている。一方チャールズは王室が発信する情報の中でさえ、つなぎの国王という扱いだ。

そもそも即位する以前から、チャールズは国王の器ではないと感じる人間が女王周辺とバッキンガム宮殿の内外には大勢いた。

それだけでも王室内に不穏な力関係が生じることになる。今は正統な君主であるチャールズが、君主を務めている時代。だがいずれウィリアムは父を挑発するだけでなく、正面切って対決姿勢をあらわにするかもしれない」

時代に合わせた改革を

今の世界に王室の居場所はあるのかと問いかける一方で、『エンドゲーム』はゴシップも盛りだくさんだ。

皇太子妃のファンを含む昔ながらの王室支持者は、その内容に反発するかもしれない。本書が描くキャサリンは覇気がなく、元側近に「職員をいら立たせ、やる気をくじく」と評される人物だ。また、ある情報筋によれば、彼女は「メーガンに話しかける時間より、メーガンの噂話をする時間のほうが長い」という。

一方ヘンリーとメーガンは「かつてなく強い絆で結ばれ」「本当に幸せ」だと、親しい友人が証言している。

「メディアの多くの人間にとって」と、スコビーは書く。「キャサリンは王室最後の『華』だ。ウィリアムが皇太子から王へと次第に堅苦しい存在に変わり、ヘンリーとメーガンが王室を離れたとなれば、彼女は今後一層そうした目で見られるだろう」

タイトルとコンセプトからして『エンドゲーム』は君主制の崩壊をにおわせる。だがウィリアムばかりかその息子ジョージの時代まで君主制が続く可能性はあると、スコビーはみる。ただし王室が世界に居場所を確保するには、時代に合った改革が必要だ。

「私は君主制の終焉を宣言しているわけではない。ウィリアムやジョージ王子が王位に就く見込みを否定しているわけでもない」と、彼は言う。

「だが王室は世界と歩調を合わせて近代化してこなかった。その規模、存在感、重要性と意義において王室は安泰ではなく、生き残れるかどうかは今が正念場だろう」


240116P48_CLS_01-20240112.jpg

 「Endgame: Inside the Royal Family and the Monarchy's Fight for Survival
  Omid Scobie[著]
  Dey Street Books[刊]
 

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

ガジェット
仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、モバイルバッテリーがビジネスパーソンに最適な理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

訂正-ジャワ島最高峰のスメル山で大規模噴火、警戒度

ビジネス

EU一般裁、アマゾンの請求棄却 「巨大」プラットフ

ビジネス

中国、債券発行で計40億ユーロ調達 応募倍率25倍

ビジネス

英CPI、10月3.6%に鈍化 12月利下げ観測
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中