最新記事
南シナ海

「怪しいタイミング」で2度もフィリピン船に衝突した中国船の「怪」...その強気な「火遊び」に黙っていられないのは誰か?

Contested Shoal Clash

2023年10月31日(火)21時10分
セバスチャン・ストランジオ(ディプロマット誌東南アジア担当エディター)

231107P36_MSK_MAP_01AIPS720SQP256Col.png

資料:Center For Strategic and International Studies

この海域での両国の対立は、もちろん初めてではない。フィリピンはセカンド・トーマス礁を含めてスプラトリー諸島で9つの島や環礁を占有するが、中国はその全てについて、南シナ海に独自に引いた境界線「九段線」の内側に収めて領有権を主張している。

今年2月には、中国海警局の船がフィリピン船に軍用級のレーザー照射を行う事件が発生。8月には中国海警局の船が、やはりシエラマドレ号に向かっていたフィリピン海軍の契約補給船の進路を妨害し、放水銃を発射した。

10月4日にも、中国海警局の船などがフィリピン沿岸警備隊の護衛艦2隻を取り囲み、セカンド・トーマス礁への接近を妨害した。このときは中国海警局の船がフィリピン船から1メートル以内に接近し、衝突寸前までいったという。

中国はこの数カ月、南シナ海のほかの海域でもフィリピンへの圧力を強めている。

9月下旬に中国側は、フィリピンの漁師たちがルソン島の西に位置するスカボロー礁に入れないように、海上に障害物を設置。

10月に入ってからは、南沙諸島でフィリピンが実効支配する島のうち最も大きく戦略的に最も重要なパグアサ島の近くで、中国海軍の船がフィリピン海軍の輸送船のすぐ前を横切った。

このように中国が南シナ海で強硬姿勢を強めていたことからすれば、衝突事件が起きるのは時間の問題だった。異例だったのは中国側が22日、衝突の直後に声明を出したことだ。この中で中国海警局は、フィリピン船が再三の警告にもかかわらず「無許可で」中国の領海に「不法侵入」したと批判した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中東紛争4日目、攻撃広がり犠牲増加 想定以上に作戦

ビジネス

ニデック第三者委「永守氏が一部不正容認」、業績圧力

ビジネス

ユーロ圏消費者物価、2月1.9%に加速 懸念される

ビジネス

中東紛争でインフレ加速も、世界経済への打撃は軽微=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医師が語る心優先の健康法
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 6
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 7
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 8
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 9
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 10
    ドバイの空港・ホテルに被害 イランが湾岸諸国に報…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 7
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 8
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 9
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 10
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中