「怪しいタイミング」で2度もフィリピン船に衝突した中国船の「怪」...その強気な「火遊び」に黙っていられないのは誰か?
Contested Shoal Clash
怪しすぎるタイミング
中国側は声明の中で、衝突の原因をつくったのはフィリピン船だと述べた。最初の補給船との衝突は、フィリピン船が中国海警局の船の進路を妨害したため、中国船の船首がフィリピン船の側面に衝突したと主張。
2件目の衝突は、フィリピン沿岸警備隊の船が中国海上民兵の船のすぐ近くで意図的に方向転換したために起きたとした。
中国側はウェブサイトに発表した声明で「フィリピン側の行動は海上での衝突回避に関する国際ルールに大きく違反しており、わが国の船舶の安全を脅かす」と批判。その上で、2件の衝突を海警局の船とドローンから撮影したとする映像を公開した。
だが責任がどちらにあるかは、この2件の事件の本質ではない。そもそもセカンド・トーマス礁は、フィリピンの排他的経済水域内に位置している。
中国の領有権主張については、2016年にオランダ・ハーグの仲裁裁判所が「国際法に照らして無効」との判決を下した。
つまりフィリピン政府には、この海域に駐留する部隊への補給活動を行う当然の権利がある。中国の船はこの合法的な主権の行使を妨害したのだから、衝突の最終的な責任は中国側にあると言っていい。
むしろ注目すべきなのは「タイミング」のほうだ。ベトナムのある識者が指摘したとおり、中国側が事件について最初に声明を出したのは午前6時11分。フィリピン側が事件を把握したとしている時間から、わずか7分後だった。
異例なほど迅速に声明が発表されたことを考えると、今回の事例は単なる事故ではないかもしれないと、先の識者は言う。
「(中国側が)フィリピンの補給活動を妨害するために、事前に強引な行動を計画していたのではないか。状況をエスカレートさせようという意図が感じられる」
中国側の意図を断定することは難しい。だが明らかなのは、中国がこの数カ月、南シナ海でフィリピン側の支配を弱めようとする組織的な行動を繰り返してきたことだ。
こうした流れは、重大な事故に発展する危険をはらんでいるだけではない。アメリカがフィリピンの防衛協力国であることを考えれば、より幅広い紛争に発展する可能性も秘めている。
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