最新記事
ウクライナ戦争

アメリカがウクライナを見捨てる日...米大統領選が戦争の結果に影響か?

THE WAR OVER THE UKRAINE WAR

2023年10月25日(水)14時30分
ダニエル・ブッシュ(本誌ホワイトハウス担当記者)、マイケル・ワシウラ(在ウクライナ本誌記者)
PHOTO ILLUSTRATION BY NEWSWEEK; SOURCE IMAGES BY MARYNA TERLETSKA/GETTY IMAGES AND GEORGE DOYLE/GETTY IMAGES

PHOTO ILLUSTRATION BY NEWSWEEK; SOURCE IMAGES BY MARYNA TERLETSKA/GETTY IMAGES AND GEORGE DOYLE/GETTY IMAGES

<「支援疲れ」が広がるなか、バイデンは大統領選をどう戦うべきか。政権が交代すればアメリカのウクライナ政策は180度変わる>

米大統領選の勝敗が外国で起きている問題で決まるということはめったにない。だが2024年大統領選の序盤において、ウクライナは争点となっている。

ジョー・バイデン大統領は、ウクライナ支援を「必要な限り」続けると述べている。ドナルド・トランプ前大統領は、再選されたらできるだけ早く「1日で」戦争を終結させると主張している。2大政党の外交政策の違いがこれほど際立つのは、イラク戦争が大きな争点となり最終的にジョージ・W・ブッシュが勝利した04年の大統領選以来、20年ぶりのことだ。

こうした意見の対立は、イラクとアフガニスタンから米軍を撤退させた後の時代に、アメリカは世界という舞台でどんな役割を果たすべきかという、米国内の幅広い議論を反映している。

バイデンに言わせれば、21世紀における大国同士のしのぎ合いで民主国家が専制国家に勝るには、アメリカの断固たるリーダーシップが必要で、それを証明しているのがウクライナ情勢だ。一方、トランプやフロリダ州のロン・デサンティス知事(いずれも共和党の大統領候補指名レースの有力候補だ)は「アメリカ・ファースト」的な孤立主義のほうを好み、他国の紛争へのアメリカの介入に厳しい制限を加えるべきだと呼びかける。

共和党の候補者の中には、マイク・ペンス前副大統領のように外交に関しては伝統的な保守派らしい考え方を信奉し、「自由世界」のリーダーとしてアメリカが積極行動主義的な役割を果たすべきだと考える人々もいる。だが、ウクライナ支援に反感を抱く共和党の草の根の支持者たちとの溝は広がるばかりだ。

ウクライナ問題が24年米大統領選の行方を左右しそうなのと同様に、米大統領選はウクライナにとっても戦争の結果を左右する要因になるかもしれない。NATOの対ウクライナ支援の方向性を決めるのも、西側諸国からの軍事支援の規模に影響を与えるのも米大統領選の勝者だからだ。また米大統領選の結果は、ウクライナ問題以外のアメリカの外交政策の方向性にも大きな影響を与える。

バイデンにとっては、外交で成果を上げたといえるかどうかはウクライナ次第という面がある。「バイデンとしてはウクライナを負けさせるわけにはいかない」と、かつて米国家安全保障会議(NSC)ロシア担当上級部長を務めたトーマス・グレアムは本誌に語った。「これが民主主義と専制主義の戦いなら、専制主義者を勝たせるわけにはいかない」

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

政府、25・26年度の成長率見通し上方修正 政策効

ビジネス

フジHD、株式買い増しはTOBでと旧村上系から通知

ワールド

北京市、住宅購入規制さらに緩和 需要喚起へ

ビジネス

26年度の超長期国債17年ぶり水準に減額、10年債
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中