最新記事
ウクライナ情勢

ウクライナ、米供与の長射程ミサイルATACMS初使用 ロシア軍の制圧した飛行場を「正確に狙い定め」攻撃

2023年10月18日(水)15時21分
ロイター
ウクライナ軍が発射した長射程の地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」

ウクライナのゼレンスキー大統領は17日、米国から供与された長射程の地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」をウクライナ軍が使用したと明らかにした。Kanal13 / YouTube

ウクライナのゼレンスキー大統領は17日、米国から供与された長射程の地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」をウクライナ軍が使用したと明らかにした。

ゼレンスキー氏はビデオ演説で「米国に感謝する。バイデン大統領との合意が履行されている。ATACMSは極めて正確だ」と述べた。

これに先立ち、米CNNは複数の匿名の米政府当局者の話として、米国がウクライナにATACMSを秘密裏に引き渡したと報道。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はウクライナが17日にロシア軍に対し初めてATACMSを使用したと報じていた。

ウクライナ軍はこの日、ロシア軍が制圧しているウクライナ東部と南部の飛行場を攻撃し、ヘリコプターや防空ミサイル発射装置などを破壊したと発表。具体的には、ルガンスク市とベルジャンスク市の近郊にある飛行場に「正確に狙いを定めた」攻撃を行ったと明らかにした。ただ、ウクライナ軍がATACMSを使用したとの報道については言及していない。

ロシア国防省はこの攻撃についてコメントしていないが、ベルジャンスク市があるザポロジエ州の親ロ派当局者は、ATACMSミサイルによるクラスター弾が17日に現地で確認されたと述べた。

ロシアの軍事ブロガーも今回の攻撃に言及し、ATACMSによる攻撃でロシア軍が兵士と装備を失ったと伝えている。

ウクライナのポドリャク大統領府顧問は戦争の新たな章が始まったとし、「国際的に認められたウクライナ国境内でロシア軍にとって安全な場所はもはやない」とX(旧ツイッター)に投稿した。

ロシアのアントノフ駐米大使は、ウクライナにATACMSを供与する米国の決定は重大な過ちであり、深刻な結果をもたらすと警告した。

ロシアメディアによると、同大使は「意図的に市民から隠されていたこの措置の結果は最も深刻なものになるだろう」とし、「米国は北大西洋条約機構(NATO)とロシアの直接衝突を推し進め続けている」と述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ガジェット
仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、モバイルバッテリーがビジネスパーソンに最適な理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英中銀、プライベート市場のストレステスト開始へ

ワールド

ウクライナ南部に夜間攻撃、数万人が電力・暖房なしの

ビジネス

中国の主要国有銀、元上昇を緩やかにするためドル買い

ビジネス

英建設業PMI、11月は39.4 20年5月以来の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 4
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中