最新記事
中東

イスラエルが過去最高30万人の予備役招集、地上攻撃計画か ハマスは人質処刑と警告

2023年10月10日(火)08時32分
ロイター
周辺を警戒するイスラエル兵

イスラエル軍は、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの戦闘に向け、過去最高となる30万人の予備役を招集したと明らかにした。写真はガザ地区からロケット弾が発射されサイレンが鳴る中、周辺を警戒するイスラエル兵。イスラエルのスデロットで9日撮影(2023年 ロイター/Amir Cohen)

イスラエル軍は9日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの戦闘に向け、過去最高となる30万人の予備役を招集したと明らかにした。地上攻撃を計画している可能性がある。

ハマスによる週末の攻撃を受け、イスラエルはガザを空爆。ハマスは、イスラエルが警告なしに民家を爆撃するごとに拘束したイスラエル人の人質を1人ずつ処刑すると警告した。

イスラエル領内では、パレスチナの戦闘員が7日の攻撃以降も複数の地域を占拠している。

イスラエルのテレビ局は、ハマスの攻撃による死者が900人に上り、少なくとも2600人が負傷したと伝えた。ガザの保健省は7日以降、イスラエルの空爆で少なくとも687人のパレスチナ人が死亡し、3726人が負傷したと発表した。

死者にはイタリア、ウクライナ、米国の市民も含まれており、バイデン米大統領は9日に少なくとも11人の米国人が死亡したと発表した。

わずか2日間で30万人の予備役が招集されたことから、イスラエルがガザへの地上攻撃を計画しているのではないか、という憶測を呼んでいる。

イスラエル軍主席報道官のダニエル・ハガリ氏は「これほどの規模の招集は前例がない。これからも攻勢を掛けていく」と述べた。

また、イスラエルのガラント国防相は、ガザの封鎖を強化して食料や燃料の供給を止めると発表した。

双方の仲裁に乗り出す動きも見られている。エジプトの治安筋によると、過去にイスラエルとハマスの仲裁をしたエジプトは双方と緊密に連絡を取り合っているという。トルコのエルドアン大統領も、仲介に意欲を示した。

関係筋によると、カタールの担当者がハマス幹部と緊急の電話会談を行い、双方が拘束している女性や子どもの解放に向けて交渉している。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

キャリア
AI時代の転職こそ「人」の力を──テクノロジーと専門性を備えたLHHのコンサルティング
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

パキスタンとアフガン、即時停戦に合意

ワールド

台湾国民党、新主席に鄭麗文氏 防衛費増額に反対

ビジネス

テスラ・ネットフリックス決算やCPIに注目=今週の

ワールド

米財務長官、中国副首相とマレーシアで会談へ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心呼ばない訳
  • 4
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 5
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 6
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 7
    自重筋トレの王者「マッスルアップ」とは?...瞬発力…
  • 8
    「中国は危険」から「中国かっこいい」へ──ベトナム…
  • 9
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 10
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 5
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 6
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 7
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 8
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 9
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 10
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中