最新記事
ロシア

ウクライナのドローンが「ブチャ虐殺」関与のロシア軍精鋭部隊に報復攻撃?──プスコフ州

Ukraine drones hit home of Russian unit blamed for Bucha massacre

2023年8月31日(木)16時59分
デービッド・ブレナン

自爆ドローンがロシアの軍用機に激突する瞬間、轟音、悲鳴 Deily Mail/YouTube

<ロシア空挺部隊の第76親衛空挺師団は軍事侵攻開始時に最前線に配備されブチャでは民間人の「浄化作戦」にも関わった>

8月30日未明にロシア西部の都市プスコフにドローン攻撃があり、ロシア軍の複数の輸送機が損傷、空港が閉鎖を余儀なくされた。プスコフはNATO加盟国であるエストニアとの国境に近く、ウクライナの民間人に対する戦争犯罪の容疑者とされるロシア軍のエリート空挺部隊の拠点でもある。

<動画>ウクライナの特殊部隊「ホワイトウルブス」が反攻開始、ロシア戦車7両、防空壕15他を撃破

ウクライナはこれらのドローン攻撃に関与したとはしていないが、ウクライナはここ数週間、ロシア国内を標的とした、爆発物を積んだドローン攻撃を繰り返しているとみられている。

ウクライナ国防省情報総局のアンドレイ・ユソフ報道官は、同国のメディア「ウクラインスカ・プラウダ」に対して、ドローン攻撃によってロシア軍の「イリューシン76輸送機」4機が破壊され、さらに2機が損傷したと述べた。ロシアの国営タス通信は、「IL76」4機が損傷し、犠牲者は出ていないと報じている。プスコフ州のミハイル・ベデルニコフ知事によれば、攻撃のあった空港は9月3日まで閉鎖され、民間機の出入りができない。

230831airborne.jpeg
訓練でイリューシン76に乗り込むロシアの空挺部隊(2021年、ロシアのタガンログ港) REUTERS/Stringer

ロシアの独立系ニュースサイト「メドゥーサ」は、損傷したIL76はロシア軍第334航空輸送連隊所属で、プスコフの空港を拠点としていると報じた。同機は、ロシア軍航空輸送の要だ。

本誌は今回の一件についてロシア国防省にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。

精鋭部隊の空挺師団はブチャでの虐殺に関与

エストニアとラトビアの国境から車で1時間程度のところに位置するプスコフは、第76親衛空挺師団の拠点でもある。同空挺師団はロシア空挺部隊の精鋭部隊で、ロシア軍の中で最もプロ意識が高く、優れた装備を持ち、最も実動実働兵力が高いとされている。

第76親衛空挺師団は、2022年2月のウクライナ軍事侵攻時に最前線にあり、ウクライナの首都キーウ北部や東部のハルキウ(ハリコフ)州イジューム近郊、ルハンシク(ルガンスク)州ポパスナ周辺での戦いに参加したと報じられている。ベラルーシからウクライナに侵入した一部の部隊は、ブチャをはじめとする複数のロシア軍占領地域で民間人の拷問や拉致、殺害に関与した。

とくにセルゲイ・チュバリキン少将とアレクサンドル・チャイコ大将の配下にある部隊は、ブチャの「浄化作戦」とつながりがあるとされている。

2022年10月のAP通信の記事は、同空挺師団に所属する兵士(名前は「バディム」とのみ記載)が同年3月21日に母親と電話した際の会話の一部を引用。バディムはこの中で、次のように述べていた。「命令が下された。民間人であれ誰であれ、構わず全員殺せと」

しかし同空挺師団は、その後の18カ月に及ぶ戦闘で大きな被害を受けたとみられている。ヨーロッパのある国防当局者は2023年12月に本誌に対して、「同空団の30~40%が負傷したか、行方が分からないか、死亡したと見ることができる」と述べた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

バンス米副大統領、パキスタンのシャリフ首相と会談

ワールド

米が資産凍結解除に同意とイラン筋、米当局者は否定

ワールド

ガザ平和評議会、資金不足報道否定 「要請全額満たさ

ワールド

情報BOX:米とイラン和平交渉、知っておくべき主な
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 5
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 6
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 7
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 8
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 9
    健康を守るはずのサプリが癌細胞を助ける? 思いがけ…
  • 10
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 7
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 8
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 9
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 10
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中