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ロシア軍

ロシア軍また大敗戦、精鋭部隊を含む一個旅団5000人を失う

Russia Loses 5,000 Soldiers as Elite Brigade Suffers High Deaths: Ukraine

2023年2月14日(火)19時35分
アンナ・スキナー

ウクライナ南部ヘルソン近郊に打ち捨てられ、赤錆びのついたロシア戦車(1月31日) Nacho Doce-REUTERS

<1月末にロシア軍がまた大規模「敗戦」を喫したようだ。死者のなかには、ロシアの精鋭部隊「第155海軍歩兵部隊」の兵士が多く含まれていたという。クレムリンの愛国主義勢力はますますロシア軍への信用を失った、と専門家はみる>

ウクライナ軍は1月末、5000人以上の兵士からなるロシア軍の一個旅団をほぼ壊滅させたと、ウクライナ軍の報道官が明らかにした。ウクライナ東部ドネツク州ブフレダールにあるウクライナ側拠点を攻めようとしたロシア軍部隊をウクライナ軍が殺傷、もしくは捕虜にしたという。

ウクライナ軍タヴリスキー管区の合同プレスセンター長を務めるオレクシー・ドミトラシキフスキーによれば、ロシアが1月末に攻めてきた際にウクライナ軍が反撃し、旅団の指揮官を含む数千人のロシア軍兵士を死に追いやったという。またロシア軍は、ウクライナの攻撃によって36両の戦車を含む130の軍装備を失った、とドミトラシキフスキーは主張する。

米政治ニュースサイトのポリティコも、ロシア軍が旅団を失ったと報じている。この時壊滅状態に陥ったのが、ロシアの「精鋭部隊」である第155海軍歩兵部隊だったという。

ロシア強硬派が失望

アメリカのシンクタンクである戦争研究所(ISW)も、この週末にレポートを発表し、ブフレダールでロシアの作戦が失敗に終わったと詳述している。

「ロシア軍は、ドネツク州ブフレダール近郊で攻撃の限界点に達し、戦術的な失敗を喫したようだ。これにより、ロシア軍の攻撃作戦遂行能力に対する超国家主義者たちの信用はさらに弱まったとみられる」と、ISWのレポートは指摘する。

またこのレポートは、ウクライナがこの地域に多くの兵力を割いて反撃したことで、ロシア軍はブフレダール占拠作戦の「主導権を失った」と述べている。

英米で刊行されている週刊誌「ザ・ウィーク」は、ロシアがブフレダールを占拠しようとした理由について、この町がウクライナ軍への補給の重要な拠点であることと、ドネツク州全体の制圧においても中心的な位置にあることを挙げている。

ウクライナ情勢

「昔のソビエト赤軍と変わらない...」さすがに「30万人」は大げさでもロシア軍を侮れない理由

The Coming Fight in the East

2023年2月14日(火)14時21分
エイミー・マッキノン(フォーリン・ポリシー誌記者)、ジャック・デッチ(フォーリン・ポリシー誌記者)
ウクライナ軍

2023年2月5日、ウクライナ・ドネツク州のバフムート付近で、ウクライナ軍がドイツの「パンツァーハウビッツェ2000」を発射 Marko Djurica-REUTERS

<訓練も装備も劣るが、どんなに激しい砲火を浴びてもじわじわ前進し、ひたすら人海戦術で粘り勝ちを狙う。ロシアの狙いは、西側の兵器が到着前に占領地を拡大すること>

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ロシア

ロシア強硬派、「アラスカ奪還」主張で米ロ間に新たな火種

Russian State TV Revives Effort to Reclaim Alaska From U.S.

2023年2月13日(月)18時14分
マシュー・インペッリ

1867年にアメリカが購入するまで、アラスカはロシアの領土だった  Peter Hermes Furian-Shutterstock

<ロシアがウクライナ侵略で非難されるなら、ロシアからアメリカが「奪った」アラスカも取り戻せ、という論理が浮上>

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ウクライナ侵攻

ロシア戦車がうっかり味方数人を轢く衝撃映像の意味

Russian Tanks Accidentally Run Over Their Own Troops in Shocking Video

2023年2月13日(月)17時14分
イザベル・バン・ブリューゲン

ロシア軍の侵攻前、訓練に励むウクライナ陸軍部隊(2022年2月10日、ハルキウ) Vyacheslav Madiyevskyy-REUTERS

<ロシアは過去24時間で戦車13両、装甲車12両、兵員900名を失ったとウクライナ軍は12日に発表した。さもありなんと思わせる滑稽なほどの映像が暴露された>

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ウクライナ情勢

10日以内に大規模攻撃? 2月24日に向けてロシアが企んでいること

2023年2月13日(月)14時28分
ニューズウィーク日本版編集部
戦闘機

MAXIM SHEMETOVーREUTERS

<去年の侵攻時を大きく上回る30万人の兵士を送り込むと言われるロシア。1年の節目に新たな大規模攻撃を計画中?>

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ウクライナ戦争

ロシア兵の遺族に「毛皮をプレゼント」も、お礼の動画撮影が終わった途端に取り上げる

Wives of Dead Russian Soldiers Up In Arms As Fur Coat Gifts Taken Back

2023年2月12日(日)20時00分
ブレンダン・コール
毛皮をプレゼントされたロシアの女性たち

@redundanton/Twitter

<カメラの前で「ありがとう」と言わされた女性たちだが、撮影が終わるとすぐに毛皮のコートを返却させられてしまった>

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