最新記事
山火事

観測史上最悪、NASAの地球発熱マップ

NASA Map Reveals Earth's Hotspots During Hottest Ever Month

2023年8月17日(木)13時37分
ジェス・トムソン

北半球も発熱を始めた(画像はイメージです) NiglayNik-Shutterstock

<この7月は、観測史上地球が最も熱い月になった。なかで最も暑かったのは、南北アメリカ、北アフリカ、南極半島だ。本誌も報じたとおり、その南極は270万年に一度の特異現象に襲われている。行動にはもう遅すぎるのか>

2023年7月は、観測史上もっとも暑い7月だっただけではない。アメリカ航空宇宙局(NASA)の科学者によれば、観測史上もっとも暑い月でもあった。

<動画>南極、「270万年に一度」の特異現象

NASA発表の声明のなかで、NASA所属のゴダード宇宙科学研究所(GISS)所長ギャビン・シュミットはこう述べた。「2023年7月は、過去のどの7月よりも気温が高かっただけではない。観測が始まった1880年以降、最も気温が高い月となった」

GISSの科学者たちが作成した「気温偏差マップ(各年や各月の、平均気温との差を示したマップ)」を見れば、2023年7月の地球全体の気温は、1951〜1980年の7月の平均気温より高かったことがわかる。1951〜1980年にかけての7月の平均気温を華氏2.1度(摂氏1.18度)上回ったのだ。また1880年に観測が始まって以降の7月の平均気温と比べても華氏0.43度(摂氏0.24度)高かった。

GISSが作成したマップでは、世界で最も暑さが厳しかった地域が濃い赤色で示されている。月平均気温を華氏7.2度(摂氏4度)上回ったのが濃い赤色の部分だ。最も暑かったのは、南北アメリカ、北アフリカ、南極半島。南極の海氷も打撃を受けている。海氷面積はこの時期、平均を15%下回り、7月の海氷面積としては1979年の観測開始以来、最小となった。

NASA地球発熱マップ

気温が上昇すれば干ばつはいっそう悪化し、山火事が増加する。それも、われわれが8月に米ハワイやカナダで体験したような最悪の山火事だ。

海面温度も、史上最高を記録した。欧州中期気象予報センター(ECMWF)の気象情報機関であるコペルニクス気候変動サービス(C3S)によると、2023年7月の世界の平均海面温度は、1991〜2020年の平均より華氏0.92度(摂氏0.51度)高かった。

太平洋の海面温度は、エルニーニョ現象(太平洋中部赤道付近の海水温が高くなる気象現象)の影響を受ける。しかし、現在発達中のエルニーニョは、まだ影響を及ぼすには至っていない。ということは、その影響が波及したとき、海水温はさらに高くなりそうだという。

「海面温度が史上最高を記録したと懸念される理由のひとつは、エルニーニョの影響が世界全体の気温偏差に表れるまでに数カ月のタイムラグがあり、冬や春にならないとその影響がわからないことだ」と、GISS発表の別の声明でシュミットは述べた。「エルニーニョ現象は現在、発達しているとはいえ、記録的な暑さにはまだそれほど深く関係していない。最大の影響をもたらすのは、2024年の2月、3月、4月になると思われる」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米2月ISM非製造業指数、56.1に上昇 3年半ぶ

ワールド

米上院、トランプ氏の対イラン戦争権限制限案を阻止

ワールド

イスラエルと米国が体制転換図れば核施設標的に=イラ

ワールド

プーチン氏、欧州向けガス供給の即時停止を示唆 EU
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    「外国人が増え、犯罪は減った」という現実もあるの…
  • 6
    「イランはどこ?」2000人のアメリカ人が指差した場…
  • 7
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 8
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 9
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウク…
  • 10
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 10
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中