最新記事
寄稿

日本人にも喜ばれる訪日客向けの観光施策とは? 東京を魅力的な旅行先にするためにできること(デービッド・アトキンソン)

2023年7月24日(月)11時30分
※TOKYO UPDATESより転載

tokyoupdates2307_3.jpg

体験型の日本文化アクティビティは人気だが、日本の独特な文化を伝えるには、日本だけではなく世界に関する知識が必要だ halbergman-iStock

たとえば近年、要所要所に、英語やほかの言語のネイティブスピーカーが書いた、あるいはチェックした案内表示や標識が設置されるようになってきた。外国人観光客にとっては、「和製英語」を発見するのも楽しい経験のひとつだが、重要な情報は正確に伝わるものでなくてはならない。無料Wi-Fiも導入され、電車や地下鉄も以前より利用しやすくなった。

多くの外国人観光客は、事前に勉強するよりも、滞在中に日本の歴史や文化を学びたいと思っているので、さまざまな情報が現地で提供されることを期待している。つまり、日本について予備知識がほとんどないのだから、日本の文化や歴史をわかりやすく説明する工夫が必要だ。世界のほかの国々から見ると、日本は非常に独特な文化を持っているからこそ、日本に詳しい人だけでなく、すべての旅行者が楽しめるようにする必要がある。こうした情報を適切に伝えることは、予想以上に難しいことであり、提供する側にも自国のみならず世界に関する深い理解が必要だろう。

日本文化を楽しく、オーセンティックに

こうした努力の大部分は訪日外国人を念頭においてなされているが、実は、解説案内板などの設置は日本人にも喜ばれている。たとえば、東京国立博物館が英語をはじめ複数の言語で展示品の解説を表示するようになったとき、日本語の説明も加筆され、展示品の歴史的・文化的な意味合いがこれまで以上に丁寧に説明されるようになったのだ。これによりその展覧会は、海外からの来館者だけでなく、日本の来館者にも好評を博した。

旅先で何らかのアクティビティに参加することは、世界的なトレンドになっている。日本の文化も、見るだけ、説明を聞くだけだった時代から、体験する時代になってきた。日本の伝統文化は、外国の文化や現代の日本文化とも大きく異なるから、それを経験できるのは大きな魅力だ。何かをただ見聞きするのとは違い、より直接的で内面に働きかける経験ができる。茶会に参加したり、生け花をやってみたりすると、日本の文化をより深く理解できるようになるだろう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米財務長官、FRBに利下げ求める

ビジネス

アングル:日銀、柔軟な政策対応の局面 米関税の不確

ビジネス

米人員削減、4月は前月比62%減 新規採用は低迷=

ビジネス

GM、通期利益予想引き下げ 関税の影響最大50億ド
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中