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プリゴジン

プリゴジン7日ぶり音声公表「前線で次の勝利を確信」

Prigozhin promises new "victories" for Wagner Group

2023年7月4日(火)19時47分
ニック・モドワネック

プーチンをビビらせたワグネルのモスクワへの行進 6月24日 REUTERS

<暗殺説も流れるプリゴジンが1週間ぶりに音声メッセージを公表したが曖昧な話に終始>

<動画>弱いロシア軍に不満?プーチンが露骨にショイグをシカトする衝撃映像

ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者であるエフゲニー・プリゴジンが7月3日、新たに短い声明を発表した。6月24日にワグネルが起こした武装蜂起の結果については多くを語らず、曖昧な話に終始した。

プリゴジン率いるワグネルは24日、ロシア南部ロストフ州のロシア軍南部軍管区司令部を占拠したが程なく撤退。隣国ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の仲介で、ロシア政府とロシア軍幹部に対する反乱を終結するのと引き換えにプリゴジンはベラルーシに「亡命」を許され、それ以来公の場に姿を見せていない。

そのプリゴジンが、反乱収束から約1週間後の7月3日にメッセージアプリ「テレグラム」に41秒間のメッセージを投稿した。「我々にはこれまで以上に皆さんの支援が必要だ」と述べ、「支援に感謝している。モスクワへの『正義の行進』は裏切り者と戦い、社会を動かすことが目的だった。多くを成し遂げることができたと思っている」と続けた。「近い将来、前線で我々の次の勝利が見られると確信している!」

プリゴジンはセルゲイ・ショイグ国防相やバレリー・ゲラシモフ参謀総長などロシア軍上層部に対して公然と敵意をむき出しにしてきた。両者との関係悪化が今後、とりわけプリゴジンに重大な影響を及ぼすことになるのかどうかはまだ分からない。

プーチンには不慣れな状況

米シラキュース大学の教授(政治科学)でロシア専門家のブライアン・テイラーは本誌に対して、今回の「プリゴジンの乱」は、これまで絶対的権力を使ってロシア政府内外の政敵を潰すことに慣れてきたプーチンを不慣れな、居心地の悪い状況に追い込んだと語る。

「プリゴジンはプーチンを直接には非難していないが、国防相を攻撃している」とテイラーは言う。「それは事実上、軍を作ったプーチンに不満を述べているのと同じだ」

ウクライナ内務省のアントン・ゲラシチェンコ顧問はツイッターで、プリゴジンのメッセージが意味するところが分からないと疑問を呈した。

「いったいどこの前線の話なのか、何に対する勝利なのか、言っていない。これは単に、プリゴジンがまだ生きていることを示すためのメッセージなのか。それとも、彼が今後も活動を続けることを示唆しているのか」

元駐ロシア米大使のマイケル・マクフォールは6月に、プーチンはプリゴジンへの処分を「おそらくまだ終えていない」と述べていた。24時間で収束した反乱は世界的に大きな注目を集めたものの、惨めな失敗に終わったと指摘する声もある。

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