最新記事
ミサイル

「極超音速」キンジャールはウソ、プーチンは開発者に騙された?──ロシア元対外情報庁長官

Kinzhal missile makers "deceived" Putin, says Ukrainian ex-intel chief

2023年5月23日(火)17時33分
エリー・クック

ロシアの科学者3人は、キンジャールが想定されたダメージをウクライナに与えられなかったために逮捕されたと、元対外情報長官のマロムシュは22日にウクライナのメディア「TSN」に掲載されたインタビューの中で指摘した。3人は、キンジャールを「ほかに類のない高性能兵器」と「はっきり謳って」いたと説明。「プーチンを欺いたのだ」とつけ加えた。

キンジャールが迎撃されたとすれば、攻撃が「完全な失敗」に終わったことを示していると、マロムシュはウクライナのメディア「TSN」に語った。「だからキンジャールの開発者たちの運命もまた完全な失敗に終わることになる。彼らはロシアの軍事力の戦略基盤を損なったからだ」

本誌はこの件について、ロシア国防省と理論応用力学研究所にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。

逮捕された3人の科学者の同僚たちは公開書簡の中で、「(3人は)いずれも愛国的で良識のある人間であり、捜査当局が疑っているようなことができる人々ではない」と主張し、さらにこう続けた。「我々は、同僚である彼らの今後を案じているだけでなく、自分たちが今後どうやって仕事を続けていけばいいのか分からずにいる」

「空中発射式の弾道ミサイルにすぎない」

プーチンは2018年の年次教書演説で、新型兵器としてキンジャールを発表。2022年8月にはロシアのセルゲイ・ショイグ国防相が、キンジャールはウクライナで「素晴らしい特性」を発揮したと述べていた。

アメリカの軍事専門家デービッド・ハンブリングは以前本誌に、真に極超音速のミサイルであれば、防空システムでの迎撃はきわめて難しいはずだと指摘していた。キンジャールはあらゆる点から考えて、限定的な軌道修正能力しかない「空中発射式の弾道ミサイルにすぎない」と。

ニューズウィーク日本版 トランプの大誤算
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年4月14号(4月7日発売)は「トランプの大誤算」特集。国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

再送米・イラン・仲介国、45日間停戦の条件について

ビジネス

午前の日経平均は続伸、イラン停戦への期待で5万40

ビジネス

午前のドルは159円半ばへ小幅安、イラン停戦協議の

ワールド

スペースX、次回のスターシップ打ち上げを5月に延期
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙の2大テーマでAI懸念を払拭できるか
  • 2
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 3
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「攻撃的知能」を解剖する
  • 4
    トランプ、イランに合意期限「米東部時間6日午前10時…
  • 5
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 6
    地面にくねくねと伸びる「奇妙な筋」の正体は? 飛行…
  • 7
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 8
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 9
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 10
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 5
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 6
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 7
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 8
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 9
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 10
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中