最新記事
アメリカ政治

来年の米大統領選、共和党内はウクライナ戦争への関与が争点に

2023年3月16日(木)12時17分
ロイター

深まる亀裂

この問題で共和党支持者の意見も割れている。

2月に実施したロイター/イプソスの世論調査では党員の55%が、民主的でない国から攻撃された場合、米国は民主的な国を支援すべきだと回答。米国はウクライナに武器を送り続けるべきかとの問いでは、賛否が真っ二つに分かれた。

アイオワ州共和党中央委員会のトゥルーディ・キャビネス氏は「人々は外交政策に関心を持っているが、ウクライナへの資金援助については少し複雑だと思う。私が(党員から)聞いたのは、これまで約束した分は供与して、次に進まなければならないという意見だ」と話す。

ロイターの取材に応じた世論調査員、アナリスト、選挙戦関係者らは、デサンティス氏が孤立主義に傾くアプローチを採ったことで、タカ派的な候補者は、より実践主義的な外交政策を好む共和党支持層のかなりの部分にアピールすることが可能になると指摘した。

ヘイリー氏、ペンス氏、マイク・ポンペオ前国務長官など複数の候補者は、外交政策での経験を有権者へのアピールポイントにしている。

一方、デサンティス氏はトランプ氏と同じ非干渉主義的な態度を取ることで、前大統領からの脱却を最も望んでいるホワイトカラーの共和党員の一部から支持を失うリスクがある。

ロイター/イプソスの2月の世論調査によると、米国はウクライナに武器を供給すべきだと回答した比率は、非大卒の共和党員では46%だったが、大卒の共和党員では59%に上った。

もっとも、有権者の多くは政策よりも人柄を重視して投票するというのが世論調査担当者の見方だ。つまり、共和党の大統領候補指名獲得者が、同党の今後の外交政策の方向性を形成する上で大きな影響力を持つことになる。

共和党のストラテジストのサラ・ロングウェル氏は「有権者が少し迷ってしまうような課題では、リーダーシップが非常に重要だ」と指摘した。

(Gram Slattery記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国で「南京大虐殺」の追悼式典、習主席は出席せず

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長にウォーシュ氏かハセット

ビジネス

アングル:トランプ関税が生んだ新潮流、中国企業がベ

ワールド

アングル:米国などからトップ研究者誘致へ、カナダが
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナの選択肢は「一つ」
  • 4
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 5
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 6
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 9
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 7
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中