最新記事

パルチザン攻撃

ベラルーシのパルチザンがロシアの貴重な早期警戒管制機A-50を破壊、ウクライナを支援

Belarus Ramps Up Border Patrol After Saboteurs Destroy Rare Russian Plane

2023年2月28日(火)20時56分
マシュー・インペリ

ロシアの貴重な早期警戒管制機A-10 (2019年の戦勝記念日) Alexander Zemlianichenko/REUTERS

<ベラルーシに駐機していたA-50が、ウクライナを支援するベラルーシのパルチザン2人のドローン攻撃で破壊された。全部で9機しかないうちの1機が破壊されたのも問題だが、A-50はウクライナ空爆の拠点になるベラルーシ駐留ロシア空軍の「目」でもあった>

ベラルーシが、国境周辺の一部でパトロールを強化していると報道されている。直前には、ロシアの貴重な早期警戒管制機が、同国領内で破壊されるという一件があった。

RFE/RL(自由欧州放送)は2月27日、一部のベラルーシ人からの情報として、リトアニアおよびポーランドと接する国境地帯の警備体制を同国が強化したと伝えた。

「出国口でチェックを行い、あらゆる物を振って確かめ、すべてを綿密に調べている」。27日に国境を越えたベラルーシ市民は、RFE/RLにそう語った。

「通常なら、出国時には持ち物のチェックはなく、国境警備隊がパスポートを確認するだけだった。それが今はこの調子だ。私は機材を持参していたので、それが気がかりだった。すべてが細かいところまで調べ上げられた。バスのドライバーの話によると、少なくともこの1年は、こんな状況は見たことがないとのことだった」

警備強化の直前の26日には、駐機中の早期警戒管制機が、ドローン攻撃を受けて破壊される大事件があった。ベラルーシの破壊工作員たちによるものだ。ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、ロシアのウクライナ侵攻以来、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を支持してきた。

【動画】パルチザン攻撃で破壊されたソ連製の早期警戒管制機A-50、残りはたった8機

ベラルーシの首都ミンスク出身の独立系ジャーナリストで、大西洋評議会の会員であるハンナ・リウバコバは、本誌の取材に対してこう語った。「ドローン攻撃を許したことに加え、ベラルーシでは唯一の貴重な早期警戒管制機が被害を受けたことで、ロシア軍上層部の間では、ルカシェンコ政権にロシアの軍装備品を預けていて大丈夫か、という疑問の声があがるはずだ」

チハノフスカヤも歓迎

一方、ベラルーシの野党指導者で、現在亡命中のスベトラーナ・チハノフスカヤの顧問を務めるフラナク・ビアチョルカは、一連のツイートで、ロシアの早期警戒管制機が破壊されたことを確認したと述べた。

ツイートには、こう書かれている。「ベラルーシのパルチザンたちに栄光あれ! 『勝利の計画』に参加したパルチザンから、ミンスク近くのマチュリシチ飛行場で、ロシアの早期警戒管制機を爆破する特別作戦に成功したとの報告があった。2022年初頭以来で最も大きな成功だ」

「この作戦は、2人のベラルーシ人が実行した。2人はドローンを使ったこの作戦を実行したあと、国を出て、今は安全な場所にいる。破壊した早期警戒管制機の損害額は3億3000万ユーロ(約476億円)にのぼる」と、ビアチョルカは述べる。

チハノフスカヤも、ツイッターにこう投稿した。「ロシアによるベラルーシ支配に抵抗し、ウクライナの自由のために戦い続けるあらゆるベラルーシ人を誇りに思う。あなたたちの勇敢な行動は、世界に対し、ベラルーシは帝国主義的な侵攻に抵抗していることを示してくれた。我々の英雄たちに栄光あれ!」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、湾岸歴訪後「おそらく16日に帰国」 現

ワールド

トランプ氏、米管理下でガザ「自由地帯」に 独自構想

ビジネス

再送-米4月PPI、前年比の伸び2.4%に減速 前

ビジネス

米4月小売売上高、伸び0.1%に減速 関税前の駆け
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    加齢による「筋肉量の減少」をどう防ぐのか?...最新研究が示す運動との相乗効果
  • 2
    宇宙から「潮の香り」がしていた...「奇妙な惑星」に生物がいる可能性【最新研究】
  • 3
    ヤクザ専門ライターが50代でピアノを始めた結果...習い事、遅かった「からこそ」の優位とは?
  • 4
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食…
  • 5
    戦車「爆破」の瞬間も...ロシア軍格納庫を襲うドロー…
  • 6
    宇宙の「禁断領域」で奇跡的に生き残った「極寒惑星…
  • 7
    対中関税引き下げに騙されるな...能無しトランプの場…
  • 8
    トランプに投票したことを後悔する有権者が約半数、…
  • 9
    サメによる「攻撃」増加の原因は「インフルエンサー…
  • 10
    「2025年7月5日天体衝突説」拡散で意識に変化? JAX…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    加齢による「筋肉量の減少」をどう防ぐのか?...最新研究が示す運動との相乗効果
  • 3
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 6
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 7
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 8
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 9
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 10
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    加齢による「筋肉量の減少」をどう防ぐのか?...最新…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中