最新記事

動物

空から大量の魚が降ってきた! 同じ町で過去30年間に4回目、謎の現象の原因は?

Fish Keep Falling from Sky Onto Same Town and Experts Aren't Sure Why

2023年2月25日(土)20時07分
ローラ・コーパー

魚に限らず、カエルやコウモリ、ワーム、クモなどの生き物が空から降ってくる「アニマル・レイン」は、世界各地で時々発生する現象だ。ただし、原因が正確に究明されたことは一度もない。有力な説としては、高速で渦巻く竜巻のような空気の柱が水上で発生し、そこに棲んでいた生き物が空に舞い上げられて、遠くまで飛んできたというものがある。

米議会図書館の公式サイトに掲載されているレポートでは、水上竜巻には、小さな生き物をその渦へと吸い上げてしまうほど強烈な威力があると説明されている。

「小さな池の上を竜巻が通過したときに、池の水が文字どおり吸い上げられて空っぽになったのを見たことがある。従って、カエル(やその他の小さな生き物)が、空から『雨のように』降ってきてもおかしくはない」。異常気象や竜巻を専門とする米パデュー大学教授アーネスト・エイジーは、米議会図書館のレポートでそう述べている。

水とともに空中へと巻き上げられた生き物は、長い距離を飛ばされていき、やがて、もともとの生息地から遠く離れた地上に落ちてくると推測されている。

「鳥が運んだ」説、「小規模洪水」説

米テキサス州東部の都市テクサーカナで2021年12月末、小魚が空から降ってきたのも、原因は同じだと考えられている。このときのアニマル・レインについては、ほかにも説がある。空中を飛んでいた鳥たちが魚を吐き出したのではないかという説だ。2022年6月にサンフランシスコで空からカタクチイワシが降ってきたときも、鳥が原因だという説が出た。

今回、魚が降ってきたラジャマヌは、海から遠く離れた内陸部の砂漠の端に位置している。つまり、大きな水源が近くにあるわけではない。だが、魚がどこからともなく現れるという現象については、そもそも魚は空から降ってきたのではなく、洪水で押し流されてきたという説もある。

「ほとんどの場合は、雨が降ったあとに魚が散らばっているのが発見されている」。北部準州博物館・美術館の魚類担当キュレーター、マイケル・ハンマーはABCニュースに対してそう語った。

「多くの場合、(地上での魚の出現は)小さな池や井戸などから水が流れ出して起きた、局地的な洪水が原因だ。しかし、嵐などに巻き上げられた魚が別の場所に降ってくるという説も、もちろん除外できない」

ハンマーはABCニュースに対し、オーストラリアではこうした奇妙な気象現象の発生件数が増えているように思われると述べた。そして地元当局に対して、こうした異常な現象に目を光らせ、それを記録して原因をきちんと調査するよう勧めている。
(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、円は日銀の見通し引き下げ受

ビジネス

アップル、1─3月業績は予想上回る iPhoneに

ビジネス

アマゾン第1四半期、クラウド事業の売上高伸びが予想

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任し国連大使に指
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中