最新記事

COP27

エジプトに新たな巨大ピラミットが出現

Huge New Pyramid Has Appeared in Egypt

2022年11月9日(水)16時15分
パンドラ・ドゥワン

砂漠に現れた新しいピラミッド。過去最大のごみ構造物だという 100YR CLEANUP

<COP27開催中のエジプトに現れたのは、ナイル川から回収したプラスチックごみで作った高さ約10メートルのピラミッドだった>

エジプトの砂漠に、新たなピラミッドが登場した。ただしこのピラミッドは石灰岩の石積みではなく、プラスチックごみでできている。

「ごみゼロ」に取り組むオーストラリアのベンチャー企業「ゼロ・コー(Zero Co)と、海のプラスチックごみの回収に取り組むワインブランド「ザ・ヒドゥン・シー(The Hidden Sea)」が考案したこのインスタレーションは、エジプトで11月7日から開催されている国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)に先立ち、プラスチック汚染と地球の廃棄物について人々の意識を高めてもらうためにつくられたものだ。

「このピラミッドの製作には5日かかった。ナイル川から回収した約4万5000ポンド(約22.5トン)のプラスチックでできている」とゼロ・コーCEOのマイク・スミスは本誌に話した。「ごみの回収には、ほぼ1カ月を要した」

ナイル川の清掃にあたっては、カイロを拠点とし、ナイル川の水や岸辺からの廃棄物除去に取り組む団体「ベリーナイル(VeryNile)」と提携した。その成果物であるごみのピラミッドは、創造性を社会変革のためのツールとして活かしているエジプト人アーティスト、バヒア・シェハブの協力で製作された。

「このピラミッドは、高さ32フィート(約9.8メートル)を超える。三階建てのビルの大きさに匹敵し、過去最大のごみ構造物だ」とスミスは説明する。

頂上はひどい臭い

スミスはパフォーマンスの一環として、COP27に先立つ3晩にわたり、ピラミッドの頂上で眠った。

「ごみのピラミッドは、『宿泊施設』に最適な場所とは言えない」とスミスは語る。「この構造物は、焼けつくようなエジプトの砂漠の太陽のなかに立っているので、大量のごみのせいでひどいにおいがするし、ハエだらけなんだよ!」

だがスミスがごみピラミッドの頂上で送った短い滞在時間には、いくつかの印象深いシーンもあった。「ピラミッドの頂上からの眺めは実にすばらしかった。とりわけ、朝の日の出は最高だ。砂漠は完全な沈黙に包まれていて、砂丘の上から太陽がのぼってくる。それにまさるものはない」

「ハンドレッド・イヤー・クリーンアップ(100yr Cleanup)」と呼ばれるプロジェクトの幕開けを飾るこのピラミッドは、来世紀まで続く大規模清掃プロジェクトの資金調達を目的としたもの。これまでのところ、25万ドル超の資金が集まっている。

20221109trash.png
ナイル川からプラスチックごみを回収するボランティアたち 100YR CLEANUP

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中