最新記事

ウクライナ情勢

ロシア、ウクライナ各地にミサイル攻撃 プーチン「テロに報復」

2022年10月11日(火)09時06分
キーウ中心部でロシアの攻撃を受け炎上する車両

ウクライナの首都キーウやリビウなど複数の都市がロシアのミサイル攻撃を受け、民間人の死傷者が出たほか、電力や水、暖房などのインフラも一部破壊された。写真は10日、キーウ中心部でロシアの攻撃を受け炎上する車両(2022年 ロイター/Gleb Garanich)

ウクライナの首都キーウやリビウなど複数の都市が10日朝、ロシアのミサイル攻撃を受け、民間人の死傷者が出たほか、電力や水、暖房などのインフラも一部破壊された。ロシアは陸・海・空から数十発の巡航ミサイルを発射し、ウクライナ侵攻開始以降で最も広範な空襲を行った。

ロシアのプーチン大統領は10日のテレビ演説で、クリミア半島とロシア本土とを結ぶクリミア大橋で8日起きた爆発の報復として、ロシア軍にウクライナのエネルギー、軍事、通信インフラに対する長距離ミサイル攻撃を指示したと表明。ウクライナがロシアへの「テロ行為」を続ければ厳格に対応すると述べた。

ウクライナ西部のテルノピルやジトーミル、中部のドニプロやクレメンチュク、南部ザポロジエ、東部ハリコフでも10日に爆発が報告された。

ウクライナ当局によると、ミサイル攻撃で少なくとも11人が死亡、数十人が負傷した。国内11カ所の主要インフラが攻撃を受けた。欧州向けの電力輸出も停止した。当局は全国的な停電の復旧を急いでいる。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、市民の殺害とエネルギーインフラの破壊を狙った攻撃だと非難した。

米国のブリンケン国務長官は、ウクライナのクレバ外相と会談し、同国への支援を改めて表明した。

バイデン米大統領は、ロシアによるミサイル攻撃を非難し、ウクライナ市民に対するプーチン大統領の戦争の「残虐性」を明示したとの認識を示した。ゼレンスキー大統領は、ウクライナの防空を巡りバイデン氏と協議したと述べた。

英首相府の報道官によると、主要7カ国(G7)の首脳は11日にゼレンスキー大統領とオンライン会合を開く。

一方、ベラルーシのルカシェンコ大統領は10日、ウクライナや西側のウクライナ支援国からのベラルーシに対する明確な脅威に対抗するため、同国軍をロシア軍と共にウクライナ周辺に配置するよう命じた。ウクライナでの戦争がさらにエスカレートする可能性がある。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

鉄鋼関税、2倍の50%に引き上げへ トランプ米大統

ワールド

トランプ米大統領、日鉄とUSスチールの「パートナー

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退

ビジネス

米国株式市場=S&P500ほぼ横ばい、月間では23
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中