最新記事

ウクライナ戦争

ドローン攻撃に対する報復でプーチンが恐れる米最強攻撃型無人機「MQ9リーパー」

Russia's Deadly 'Kamikaze' Drones Compared to Ukraine's Unmanned Arsenal

2022年10月19日(水)14時34分
ニック・レイノルズ

だが英国防省は、シャハド136のサイズは「過度に大きくも小さくもない」ため、地対空ミサイルなどの対空兵器で撃墜が可能だと指摘する。ロシア軍は複数のドローンで群れをなして攻撃を行うことで、一定の成果を上げているとの見方を示した。

またクレップスはシャハド136について、同じくイラン製で同機のベースとなった「シャハド191」などと比べると性能が劣るようだという。クレップスによれば、シャハド191は米国製ドローン「RQ170センチネル」を解析調査して模倣したものとみられる。「シャハド136の性能はそれらのドローンには遠く及ばないが、破壊をもたらし、敵を不安にさせるには十分だ」と彼女は本誌に語った。

シャハド136の登場は、ウクライナ戦争に地政学的変化をもたらした。ウクライナとアメリカの当局者らはロシア軍に直接的な支援を提供したとしてイランを非難。イランはい一貫してこれを否定する。アメリカはプーチンの「核の脅し」を受けて争いのエスカレートを回避しようとしてきたが、シャハド136が使用されたことでそのドローン戦略に変化が表れるかもしれないと指摘した。

ドローンが戦争をエスカレートさせる

「ウクライナもロシアも自分たちでドローンを製造しておらず、トルコ、アメリカやイランからの供与に頼っている」とクレップスは言う。「アメリカのような国々はこれまでのところ、攻撃用ドローンの供与を制限してきた。だが次はウクライナにリーパーを供与するかもしれないという噂を受けて、ロシアは『ドローンの輸出は事態をエスカレートさせる』と警告しているからだ」

クレップスはさらにこう指摘した。「なぜTB2は戦争をエスカレートさせず、リーパーはエスカレートさせるのか。その理由ははっきりしない。だがそこには、アメリカが過去10年の対テロ作戦においてリーパーをどのように使用してきたのかを踏まえた、各国指導者のリーパーに対する認識が影響しているのだと思う」(編集部注:2020年にイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害した米軍無人機はリーパーだとみられている)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=ダウ・S&P最高値更新、ハイテク下げ

ワールド

トランプ氏、オレゴン州最大都市への支援削減検討を指

ワールド

米軍、ベネズエラ沖の公海で「麻薬船」攻撃 4人死亡

ワールド

米上院、つなぎ予算案また否決 政府機関閉鎖3日目
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、Appleはなぜ「未来の素材」の使用をやめたのか?
  • 4
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 5
    謎のドローン編隊がドイツの重要施設を偵察か──NATO…
  • 6
    「吐き気がする...」ニコラス・ケイジ主演、キリスト…
  • 7
    「テレビには映らない」大谷翔平――番記者だけが知る…
  • 8
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 9
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 10
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 5
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 6
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 7
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中