最新記事

ワクチン

英政府が妊娠・授乳中のワクチン「推奨せず」とのツイート氾濫...真偽をファクトチェック

Has Advice On Pfizer Vaccine Use During Pregnancy Changed?

2022年9月3日(土)20時05分
トム・ノートン

これらのツイートでスクリーンショットされているウェブページは、本物の英政府のページではあるものの、ワクチン接種に関する現在の推奨事項とは全く関係がない。ファイザーが2020年に、自社製ワクチンの暫定承認を申請した際に初めて公開されたものだ。

このページは2020年12月30日に変更され、妊娠中や授乳中の女性に関する情報が盛り込まれたが、ツイッターで引用されているのはその文面だ(妊娠中や授乳中に使うことを現状では推奨しないという内容)。しかし、このページの2021年1月からのアーカイブを見るとわかるように、最近は情報が更新されていない。

ウェブページ自体は8月16日に更新されたが、今回の変更は授乳や妊娠とは無関係だ。このページに掲載されている別の情報によれば、今回の変更はブースター接種に関するものだという。

重要なのは、ファイザーからMHRAに提出された授乳と妊娠に関する情報は、最近は変更されていないことだ。同じウェブページにあるほかの情報も、それがいかに古いものかを示唆している。

例えば、このウェブページには、「この報告をまとめた時点で、イギリスにおけるCOVID-19の感染者は推定164万人で、死者は6万人を突破した」と書かれている。英政府によれば、2022年8月30日現在、(検体採取済みの)累積感染者数は1983万3314人に達しており、感染判明後28日以内に死亡した人は16万4624人だ。

英政府も米CDCもワクチンは安全との立場

なお米CDCは現在、「妊娠中の人、授乳中の人、現在妊娠を試みている人、将来妊娠する可能性がある人」を含む「生後6カ月以上のすべての人」にワクチン接種を推奨している。

さらに、CDCは次のように述べている。「妊娠中のCOVID-19ワクチン接種が安全かつ有効であることを示す証拠は増え続けている。現時点では、COVID-19ワクチンを含むいかなるワクチンも、男女ともに生殖能力上の問題を引き起こす証拠は存在しない」

結論として、妊婦や授乳中の母親たちを不安に陥れる一連のツイートは「正しくない」ということになる。英政府(およびCDC)は、COVID-19ワクチンは妊娠中や授乳中でも安全だと述べている。ツイッターで共有されたウェブページは、2020年に初めて公開された古い文書の一部だ。
(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午前の日経平均は続落、中東情勢悪化が重し 売り一巡

ワールド

ホルムズ海峡リスク、ブレント原油一時110ドルも=

ワールド

中国はエネルギー輸出国に転換へ=ロスネフチCEO

ワールド

ウクライナ大統領、武器生産で協力国にGDP比0.2
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 2
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり得ない!」と投稿された写真にSNSで怒り爆発
  • 3
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 7
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 8
    EU、医療機器入札から中国企業を排除へ...「国際調達…
  • 9
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 10
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 8
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 9
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 10
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中