最新記事

欧州

EU、ロシアとのビザ発給円滑化を完全停止 ウクライナが求めた全面禁止は合意できず

2022年9月1日(木)10時58分
EUの外相に当たるボレル外交安全保障上級代表

欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は31日、EUがロシアと合意していたビザ(査証)発給円滑化措置を完全に停止することで合意したと明らかにした。8月18日撮影(2022年 ロイター/ Johanna Geron/File Photo)

欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は31日、EUがロシアと合意していたビザ(査証)発給円滑化措置を完全に停止することで合意したと明らかにした。ただ、ウクライナのほか、一部EU加盟国が求めていた全面的なビザ発給の禁止については合意に至らなかった。

EUはプラハで2日間にわたり外相会議を開催。ボレル上級代表は同会議後の記者会見で「ロシアとのビザ発給円滑化協定の完全停止で合意した」とし、「これにより、EU加盟国が新たに発給するビザの数は大幅に減少する」と述べた。

バルト3国のほか、ポーランドやフィンランドなどが主張していたロシア人向けのビザ発給の全面禁止については、加盟国間の見解の相違が大きすぎたことで合意に至らなかった。ただ、ボレル上級代表は、ビザ発給円滑化の停止自体で実質的な影響を及ぼすことができるとの見方を示した。

ボレル氏によると、7月中旬以降、ロシアから近隣諸国との国境を通過する人が大幅に増加。「近隣諸国にとって安全保障上のリスクとなっている」とし、「これに加え、ウクライナで戦争が起きていないかのように、観光や買い物のために旅行するロシア人が多く見られるようになっている」と述べた。

欧州対外国境管理協力機関(フロンテックス)によると、ロシアによるウクライナ侵攻開始以降、100万人を超えるロシア人が陸路で国境を越えた。大部分がフィンランドとエストニアを経由してEU域内に入ったという。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、鉄鋼関税50%に引き上げ表明 6月4日

ビジネス

アングル:トランプ関税、世界主要企業の負担総額34

ワールド

トランプ米大統領、日鉄とUSスチールの「パートナー

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中