最新記事

ポルノサイト

米VISA、児童ポルノ収益化を支援する意図があった...米裁判所が認定

2022年8月10日(水)17時55分
青葉やまと

決済大手とアダルトサイトとの関係には一層厳しい目が向けられるようになった...... PeopleImages-iStock

<大手ポルノサイトに決済手段を提供していたことで、その責任を問われることとなった>

当時14歳だった女性が性的動画の掲載被害を訴えている裁判で、米地方裁判所は7月29日、決済手段を提供している米VISA社には児童ポルノから収益を得ることを「支援する意図があった」との判断を示した。

本裁判は、大手ポルノ動画サイトのPornhubに無断で性的動画を掲載された米女性が原告となっている。サイト運営元のカナダのマインドギーク社を訴訟し、また、同サイトに支払い手段を提供していたとしてVISA社の責任を追求していた。

VISA側は違法性を否定していたが、米国カリフォルニア州中部地区連邦地方裁判所はこのたび、「Visaはマインドギーク社が児童ポルノによって収益を得る手段を提供し続け、マインドギーク社が当然そうする(児童ポルノで利益を上げる)ことを認識していたという紛れもない事実があり、これに基づき本裁判所は、VISAにはマインドギーク社による児童ポルノ収益化を支援する意図があったと容易に推定することができる」との判断を示した。

裁判所はまた、VISA側が児童ポルノの収益化を支援する意図があったという原告側の主張が「妥当な申し立て」であると認めた。VISAが被告適格であると認められたことで、今後進行する裁判の当事者となる。

米バラエティー誌によると、判断を受けてVISAとマスターカードは、同サイト上の広告枠を販売する機能を停止した。Pornhubは全世界のサイトアクセスランキングで10位以内に位置しており、1日あたり約35億回のアクセスを稼いでいる。

片思いの男の子に送った性的動画が全世界に

原告は、カリフォルニアに住む21歳女性のセレナ・フリーティスさんだ。彼女は2020年12月、今回の裁判の訴訟内容となっている性的動画の拡散被害について、ニューヨーク・タイムズ紙に語っている。記事は議会で取り上げられるなど社会的関心を集めた。

記事によるとフリーティスさんは14歳のとき、当時片思いをしていた男の子に性的な動画を送るよう頼まれ、応じたところPornhubに無断で投稿されたという。相手の少年がほかの男子と共有し、誰かがサイトに投稿した模様だ。動画は瞬く間に通っていた中学校じゅうで噂となり、フリーティスさんの「世界は崩壊した」という。

ニューヨーク・タイムズ紙はまた、同サイトには、児童レイプ、リベンジポルノ、シャワーの盗撮動画などがはびこっていると指摘している。フロリダで15歳の少女が行方不明になったあと、Pornhubで少女の性的動画58本がみつかる事件も発生している。

アダルトサイトとの関わりに厳しい視線

無断アップロード被害を訴えたフリーティスさんの記事をきっかけに、決済大手とアダルトサイトとの関係には一層厳しい目が向けられるようになった。訴訟リスクを回避したいカードブランド各社は、コンテンツ販売業社との関係に慎重な姿勢を示すようになっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米政権文書、アリババが中国軍に技術協力と指摘=FT

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に

ビジネス

トランプ氏、8月下旬から少なくとも8200万ドルの

ビジネス

クーグラー元FRB理事、辞任前に倫理規定に抵触する
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 3
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 4
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    「腫れ上がっている」「静脈が浮き...」 プーチンの…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中