最新記事

アフガニスタン

ザワヒリ殺害がアフガニスタンで行われたことが示す、新たなテロの危機

UNFINISHED BUSINESS

2022年8月15日(月)15時13分
フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)
ザワヒリとビンラディン

9.11の終結? ドローン攻撃で殺害されたザワヒリ(右)とビンラディン(2001年) REUTERS

<911同時多発テロの共謀者が、カブールの高級住宅地で家族と暮らしていたことは分かっていた。アフガン撤退の正当性と軍事力を示せたアメリカだが、テロの根源を絶つまでには至っていない理由とは?>

アメリカのドローン(無人機)による攻撃でアルカイダの最高指導者であり9.11同時多発テロの共謀者だったアイマン・アル・ザワヒリが死亡した――ジョー・バイデン米大統領が8月1日に発表したこの内容は、一見すると衝撃的とも、そうでないとも受け取れる。

西側諸国の対テロ戦略のおかげで、テロ組織アルカイダは10年前のような強力なグローバル勢力からは程遠い存在になっている。

その存在感は薄れ、ザワヒリ自身も一昨年の11月にある著名な専門家が「もう殺されたかもしれない」と推測したほど目立たなくなっていた。

その一方で今回の攻撃が示すある事実は、より大きな発見を示唆している。攻撃がアフガニスタンで行われたことだ。

ザワヒリは首都カブールの高級住宅地にある大きな隠れ家に家族と住んでいたことが分かっているが、これはつまりタリバンがアルカイダとの同盟関係の復活をもくろんでいたことを意味する。

バイデンによる攻撃は、差し当たりこの同盟の芽を摘み取ったということだろう。少なくとも、米外交問題評議会のブルース・ホフマン上級研究員(テロ対策担当)は筆者に対して「タリバンが何をしようとしているのか(西側は)把握しているというメッセージを送ったことになる」と語った。これ以上の関わり合いを持つことは、さらなる攻撃を促すという警告だ。

ジハード主義者の影

米同時多発テロの頃からウサマ・ビンラディンの副官だったザワヒリが、彼の後を継いでアルカイダの指導者になったのは当然のことだった。ザワヒリはカリスマ性のない指導者という見方もあるが、現在の状況下では有用な指導者であり、少なくともテロ組織をまとめ上げたと評する向きがあった。

いずれにせよ各国の情報機関やテロ対策機関は、9.11やその他のアメリカ人に対するテロ攻撃に関与したザワヒリを追ってきた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

百貨店、バレンタイン商戦で物価高対策に腐心 チョコ

ビジネス

中国万科、利払い条件変更で金融機関と合意 四半期ご

ワールド

中国、日本のジクロロシランの反ダンピング調査開始 

ビジネス

独失業者数、12月は予想下回る増加 失業率6.3%
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが「手紙配達」をやめた理由
  • 4
    「見ないで!」お風呂に閉じこもる姉妹...警告を無視…
  • 5
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 6
    「悪夢だ...」バリ島のホテルのトイレで「まさかの事…
  • 7
    若者の17%が就職できない?...中国の最新統計が示し…
  • 8
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 9
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 10
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 9
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中