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アングル:トランプ米大統領が指名の駐仏大使、「米国第一」外交で動揺招く

2026年02月25日(水)12時53分

写真はチャールズ・クシュナー駐フランス大使。2022年7月、ニューヨークで撮影。REUTERS/Brendan McDermid

Gabriel Stargardter

[パ‌リ 24日 ロイター] - トランプ米大統領が指名して昨年就任したチャールズ・ク‌シュナー駐フランス大使(71)は、フランス語を学ぶことに全く関心を示さず、フランスの厳格な官​僚機構の規範にもほとんど注意を払わず、動揺を引き起こしている。外交経験のない不動産業者上がりのクシュナー氏は、トランプ氏の娘婿ジャレッド・クシュナー氏の父親だ。

昨年⁠夏の就任後にフランス側の期待感をことごとく覆し、​欧州全域で「米国第一」主義という傲岸不遜な外交を貫いている。

かつてはベンジャミン・フランクリンや、トーマス・ジェファーソンといったビッグネームが務めていた米国の駐仏大使にクシュナー氏が選ばれたことにフランス側はかねてから眉をひそめていた。

クシュナー氏は違法な選挙資金の拠出と脱税によって連邦刑務所に服役した前科を持つが、2020年にトランプ氏から恩赦を受けた。

クシュナー氏はパリに着任した数週間後にフランスのマクロン大統領に宛てた公開書簡で、フランスが反ユ⁠ダヤ主義対策に十分取り組んでいないと非難して大きな波紋を呼んだ。

マクロン氏はクシュナー氏の言説を「外交官として許されない発言だ」と非難。クシュナー氏は外務省に召喚されたものの、拒否した。

このほど、フランスの極右活動家が殺害された事件を受けた⁠米国務省テロ​対策局のコメントを、駐仏大使館が短文投稿サイト「X」に再投稿した。これを巡る23日の召喚にもクシュナー氏は応じなかった。

フランスの外交筋によると、クシュナー氏が23日の召喚を拒否したことを受け、同氏は政府高官との面会が制限される見通しだ。

バロ外相に近い関係筋が24日明らかにした情報によると、クシュナー氏はバロ氏への電話で「わが国の公の議論に干渉する意図はない」と表明した。両者は近く会談することで合意したという。

駐仏米国大使館は、クシュナー氏とバロ氏が「本日の率直かつ友好的な電話会談で米国とフランスに影響を与える多くの課題、とりわけ両国の豊かな外交関係の250周年を祝う中で、他の閣僚やフランス当局者と協力するという共通の決意を再確認した」⁠との声明を出した。

フランスの法学者で、米最高裁の専門家であるジュリアン・ジャヌネ氏は、クシュナー氏が反ユダヤ‌主義に関する公開書簡を出して以来、クシュナー氏とフランス外務省の間で「権力闘争」が続いていると指摘した。

ジャヌネ氏は「外交官の役割は、少⁠なくとも公の⁠場では、赴任先の国を説教することではない」とし、「このような書簡を公開することは基本的な外交慣行に反する。外相の召致に応じないのは(中略)反抗の表れだ」と指摘した。

<波紋を広げるトランプ氏指名の駐欧大使たち>

トランプ氏が任命した大使たちは欧州各地で波紋を広げており、トランプ政権が欧州のことを「文明の消滅」に直面していると主張する事態と陥っている。

トム・ローズ駐ポーランド大使は、トランプ氏のノーベル平和賞受賞への野望を支持しなかったとして議会議長との関係を断った。ビル・ホワ‌イト駐ベルギー大使は、無許可の割礼取り締まりを反ユダヤ主義だと主張したことでベルギー外務省に召致された。

フランスとトランプ政​権は貿易、欧‌州の領土主権、デジタル規制、言論の自由などの⁠問題を巡って緊迫している。

しかし、米国とフランスの情報筋によると、​正統派ユダヤ教徒であるクシュナー氏は「米国を再び偉大に(MAGA)」運動よりも反ユダヤ主義への懸念に駆られているという。

MAGAに影響を受けたフランスのシンクタンクを運営し、クシュナー陣営と交流のあるニコラ・コンクール氏は「クシュナー氏がMAGA帽子をかぶっている姿は想像できない」とし、クシュナー氏のことを「フランスでのMAGAの旗手ではない」と評する。

トランプ・フランス委員会の報道担当者で、クシュナー氏と数回面会したことがあるフィリップ・カルサンティ氏は、クシュナー氏が反ユダヤ主義のことを政治体制をむしばむ致命的なウイルスだと見なし、‌手遅れになる前に阻止する決意を固めているとの見解を示す。カルサンティ氏は「それは2026年のフランスが、決して1939年のフランスにならないようにすることだ」と指摘する。

米当局者らはクシュナー氏の公開書簡がフランスで不評だったことを認める一方で、フランス政府を​行動へと駆り立てたと主張する。反ユダヤ主義的な行為はイスラエルがパレスチ⁠ナ自治区ガザへの攻撃を始めた2023年に過去最高を記録したが、25年は前年比で16%減った。

フランスと米国の当局者らは、マクロン氏が主にトランプ氏と携帯電話で直接話しているものの、クシュナー氏がトランプ氏に近いことはプラス要素だと説明する。

両国当局者によると、クシュナー氏はフランス語を話せず、習得への意欲もほとんど示していない。​クシュナー氏は、フランス語に堪能でフランス政界との駆け引きに長けたガブリエル・シェインマン首席補佐官を頼みの綱にしているという。

両国当局者によると、クシュナー氏は早い時間に就寝し、午前4時半ごろから電子メールを次々と送信する。

カルサンティ氏は「クシュナー氏は早起きし、早寝する。無駄なレセプションは開かない」と紹介。さらに「不必要な人物とはほとんど会わない。言語を学べる年齢ではないし、そのために来たわけでもない。行動するために来たのだ」と指摘した。

ロイター
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