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参院選きょう投開票、争点は物価高や安保政策など 安倍元首相銃撃事件の影響は?

2022年7月10日(日)11時00分
投票所で準備をする人

第26回参院選の投票が10日午前始まった。安倍晋三元首相が遊説中に銃撃された事件の衝撃が日本中を包む中、与野党は物価高など経済対策や安全保障政策を争点に125議席(改選124、非改選の欠員補充1)を奪い合う。写真は昨年の衆院選時の投票所。2021年10月、東京で撮影(2020年 ロイター/Androniki Christodoulou)

第26回参院選の投票が10日午前始まった。安倍晋三元首相が遊説中に銃撃された事件の衝撃が日本中を包む中、与野党は物価高など経済対策や安全保障政策を争点に125議席(改選124、非改選の欠員補充1)を奪い合う。

自民、公明の与党は参院全体(248議席)の過半数(125議席)維持を勝敗ラインに掲げている。非改選議席は70を確保しているため、55議席を取れば達成する。岸田文雄首相の政権運営を占う上では与党で改選議席の過半数(63議席)を上回るかどうかも焦点となる。

共同通信が2─5日に実施した選挙戦終盤の世論調査によると、自公は改選議席の過半数を超える勢いを維持。憲改正法に前向きな日本維新の会、国民民主党などを加えた「改憲勢力」は、国会発議に必要な参院全体の3分の2以上(166議席)の議席維持が視野に入る。

自民党総裁も務めた安倍元首相が8日に急死したことが、どう投票行動に影響を与えるかも注目される。米調査会社テネオ・インテリジェンスは、「同情票が与党の票を押し上げる可能性がある」と分析する。1980年の衆参同時選挙は当時の大平正芳首相が選挙中に死去し、自民党が圧勝した。法政大学大学院の白鳥浩教授(現代政治分析)は、「とむらい合戦で与党・自民党に有利に風が吹くことになった」と話す。

選挙戦最終日となった9日、各党は安倍元首相の銃撃事件で中断された選挙活動を再開した。自民党の岸田総裁は新潟市で街頭演説し、「安倍総理が愛した日本をさらに元気にし、豊かにし、次の世代に引き継いでいかないといけない」と訴えた。公明党の山口那津男代表は「賃金上昇の流れ、デフレ脱却を確実なものにして日本の経済を力強く前に進める」と語った。

立憲民主党の泉健太代表は「円安で影響を受けるみなさんの立場に立った政策を打っていきたい」、日本維新の会の松井一郎代表は「前例踏襲ではこの国は持たない。次の世代につけが回ることになる」、国民民主党の玉木雄一郎代表は「頑張っても給料が上がらない、そんな経済状況を続けるのかということを問いたい」などと主張した。

日本共産党の志位和夫委員長は「平和と民主主義を壊す逆流に対し正面から立ち向かう」、れいわ新選組の山本太郎代表は「消費税を廃止し、毎日が10パーセントオフ、消費を徹底的に喚起する」、社民党の福島瑞穂党首は「憲法9条が変えられるかもしれない国会に社民党が存在しなければならない」 NHK党の立花孝志党首は「ほかの党は大したことしていないのに大きく言う。うちはきっちり仕事をしている」と訴えた。

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