最新記事

宇宙開発

宇宙の合金・半導体工場が9月打ち上げへ 商用規模の生産は初

2022年7月27日(水)18時57分
青葉やまと

打ち上げはジェット機とロケットの2段構えで実施される。工場モジュールであるForgeStar-0は、ロケットのランチャー・ワンに搭載される。このランチャー・ワンはさらに、ヴァージン・オービット社のジェット機「コズミック・ガール」の左翼下に吊り下げる形で搭載される。

コズミック・ガールがコーンウォール宇宙港を離陸すると、一定高度に達した段階で機種を上げてランチャー・ワンを投下する。その後高高度において、ランチャー・ワンのエンジンが点火する流れだ。

ランチャー・ワンは2段式ロケットであり、英ヴァージン・グループ傘下のヴァージン・ギャラクティックが初期開発した。現在は同グループで打ち上げ事業を担うヴァージン・オービット社が開発と運用を引き継いでいる。

たった2名からスタートしたベンチャー企業

2020年3月にわずか2名でスタートしたスペース・フォージ社は、今では40名のフルタイムの従業員を擁するまでに成長した。全員がForgeStar-0の開発に携わっている。

意外にも共同創業者のウェスタン氏は、学校で科学の成績がよかったわけではないという。英BBC(https://www.bbc.com/news/uk-wales-61978510)に対し、「少年時代は例に漏れず宇宙が大好きだったのですが、科学が得意というわけではありませんでした」と打ち明けている。

「イギリスに宇宙産業があることさえ、2014年までは知りませんでした。(知ったときに)宇宙企業のCEOに、『こんにちは、仕事の面接を受けたいのですが』と手紙を送ったのです。」

その会社で働くうちに、もう一人の共同創業者のアンドリュー・ベーコン氏と出会い、退職してスペース・フォージ社を設立したのだという。今では日本を含む12ヶ国から従業員が集うまでに拡大した。

同社は7月末までに衛星を完成させ、コーンウォールで進む打ち上げプロセスに間に合わせる計画だ。同社の事業が軌道に乗れば、宇宙生まれの素材を使った飛行機に私たちが乗る日もいつか来るかもしれない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、NSC会合開催 中東情勢巡り90分協議

ワールド

ウクライナ大統領、G7に一段の支援要請 トランプ氏

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、中東緊迫化で安全買い

ワールド

フーシ派幹部、イラン支援へ介入と表明
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中