最新記事

食料安全保障

ウクライナの穀物輸出で4者協議 航路の安全確保や武器密輸監視で合意

2022年7月14日(木)10時06分
ウクライナの小麦畑

ロシア、ウクライナ、トルコの軍代表は13日、イスタンブールで国連の代表と会合し、ウクライナの黒海の主要港からの穀物輸出再開に向けた協議を行った。2016年7月撮影(2022年 ロイター/Valentyn Ogirenko)

ウクライナロシア、国連、トルコの各代表団は13日、ウクライナの穀物輸出の再開に向けた協議をトルコのイスタンブールで開き、輸出航路の安全確保などで合意した。

トルコのアカル国防相は、来週には協定に署名するとの見通しを示した。トルコが輸送貨物の安全を確保し、当事者が港で貨物をチェックすることになると説明した。

国連のグテレス事務総長は記者団に「重要な一歩」を踏み出したと評価した。その上で、協定締結にはさらに実務的な作業が必要になるとの見方を示した。

ウクライナのゼレンスキー大統領は「ウクライナの代表団から進展があったとの報告を受けた。数日以内に国連事務総長と詳細について合意する」と期待を示した。

トルコとウクライナによると、共同調整センターが設置される。ウクライナ大統領府のアンドリー・イェルマーク長官はツイッターに、黒海の安全航行の監視と調整を行うことが任務だと説明した。

ロシア側のコメントは得られていない。

ロシアのウクライナ侵攻に伴ってウクライナからの穀物輸出が滞り、世界的な食料危機が悪化する中、事態の打開に向け、トルコは国連と連携し交渉を後押してきた。

インタファクス通信はロシア国防省報道官の情報として、ロシア代表が協議で「問題の迅速な現実的解決」に向けた提案を行ったと伝えた。

外交官によるとこの日の協議では、1)穀物を積載する船舶が機雷のある海域を通過する際、ウクライナが先導する、2)穀物を輸出する船舶の航行中、ロシアは休戦に同意する、3)武器密輸を巡るロシアの懸念払拭に向け、トルコは国連の支援を受け船舶を検査する──という計画が検討された。

インタファクス通信によると、ロシア外務省当局者は、ウクライナの穀物を輸出するため、ロシアは外国船舶の航行を促す用意があると述べた。また、ロシアは武器密輸を排除するため、自ら船舶の管理・検査を行う意向を示したという。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:好調スタートの米年末商戦、水面下で消費揺

ワールド

トルコ、ロ・ウにエネインフラの安全確保要請 黒海で

ワールド

マクロン氏、中国主席と会談 地政学・貿易・環境で協

ワールド

トルコ、ロシア産ガス契約を1年延長 対米投資も検討
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 8
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 9
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中