最新記事

台湾有事

アメリカは「どこまで」台湾を守るか

Will U.S. Defend Taiwan if China Invades? Experts Weigh In

2022年6月6日(月)18時19分
ジョン・フェン(本誌記者)

「どうやれば(台湾の)島をきちんと防衛できるのか。(台湾)政府の承認もしていないというのに」

中国の側では、この地域のアメリカの同盟国が台湾有事に際して何らかの役割を果たそうとするかどうかを新たに計算に入れなければならない。多国間主義的アプローチこそバイデンの外交政策のめざましい成果の1つであり、台湾の安全保障を巡る懸念が国際的に共有されるようになったのもそうだ。

それは昨年4月にバイデンが、当時の日本の菅義偉首相をホワイトハウスに迎えた時に始まった。両首脳は「台湾海峡における平和と安定」を求める文言を含む合同声明を出したのだ。

それから15カ月。この文言はG7やEUを含むさまざまな2国間もしくは多国間の声明に登場した。

「台湾海峡における平和と安定」という文言が加えられることがいかに重要性かは、中国政府がしばしば抗議の声を上げていることからも明らかだ。5月末にも、バイデンとニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は共同声明の中で同様の考えを強調した。

高まる日本の重要性

特に日本にとって、最西端に位置する与那国島は台湾と100キロほどしか離れておらず、台湾有事は防衛計画を立てる上で差し迫った問題だ。

日本はアメリカにとり、アジアにおける条約に基づく同盟国の中でも特にコミットメントが大きい国であるとともに、国外で最も多くの米兵が駐屯している国でもある。そんな日本が台湾を巡るアメリカと中国の紛争に巻き込まれる可能性は否定できない。もし人民解放軍が日本国内の米軍基地を強く意識するようになった場合は特にそうだ。

だが日本政府は、アメリカの意図がはっきりしないままでは自衛隊の効果的な行動計画を立てることはできない。バイデン発言が日本で前向きに受け止められたのも無理はないだろう。

日本の安倍晋三元首相はバイデン発言について「(大統領が自らの)意志を示した」との見方を口にした。安倍は親台・対中強硬派と目されており、あいまい戦略の放棄を求めている。

また安倍は、アメリカがあいまい戦略を取り入れた頃とは違い、米中の軍事力の差が縮まってきている昨今、同戦略の継続は危険だと説いた。そしてバイデン発言は中国へのメッセージであり、抑止力の強化につながるとの考えを述べた。

また安倍はこうも説いた。もしアメリカが、中国による台湾への軍事侵攻があれば介入するとの立場を明確にしていれば、アメリカとの戦争突入は望んでいない中国は台湾侵攻をあきらめざるを得なかったはずだ──。

ニューズウィーク日本版 日本人が知らない AI金融の最前線
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月3号(2月25日発売)は「日本人が知らない AI金融の最前線」特集。フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに[PLUS]広がるAIエージェント

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国春節の9連休、国内旅行と消費支出を押し上げ

ビジネス

グーグル、データセンター向けに米電力会社2社と契約

ワールド

米、ロシアとUAEの個人・団体にサイバー関連の制裁

ビジネス

アップル、AIなど技術投資優先 株主総会でCEO表
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 5
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 8
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 9
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 10
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中