最新記事

銃規制

拳銃の売買を全国的に凍結へ 米国よりはるかに厳格なカナダの銃規制

2022年6月2日(木)17時14分
拳銃の展示ケース

カナダ政府は拳銃の売買を全国的に凍結する法案を提出した。写真は同日、ブリティッシュコロンビア州メープルリッジの銃を扱う店で撮影(2022年 ロイター/Jennifer Gauthier)

カナダ政府は30日、拳銃の売買を全国的に凍結する法案を提出した。弾倉に込められる弾数の制限や銃に似た一部玩具の禁止などを盛り込んだ包括的な銃規制強化の一環だ。

法案提出の1週間前には、米南部テキサス州ユバルディの小学校で銃乱射事件が発生し、児童19人と教師2人が死亡したばかり。

カナダにおける銃規制の現状や銃の保有状況をまとめた。

銃は違法か

違法ではない。カナダは銃規制が米国よりはるかに厳しいが、使用許可証を持っていれば銃器の所有が認められている。拳銃のように規制や禁止の対象となっている銃器は登録する義務がある。

国民は18歳以上で、銃器安全講習に合格しなければ使用許可証を取得できない。許可証は5年ごとに更新される。

12─17歳は年少者向けの許可証を取得すれば、狩猟や射撃競技のためにほぼすべてのライフルや散弾銃など規制対象外の銃器を借りたり、弾薬を購入することができる。

12歳未満でも、先住民の子供など、自身や家族の生活を支えるために狩猟が必要な場合は、例外として銃器の使用が認められる場合がある。

伝統的な狩猟を行う先住民は、安全講習の場所が遠すぎたり、費用がかかりすぎる場合には、受講が免除されることがある。代わりに、銃器に必要な知識を持っていることを確認するコミュニティの年長者による証明書に基づき、代替的な認定を申請することができる。

カナダは2年前、ノバスコシア州ポータピックで起きた銃乱射事件をきっかけに、ライフル銃「AR―15」など1500種余りの殺傷能力の高い銃の販売や使用を禁止した。

銃の保有状況

連邦政府によると、国内における拳銃の登録数は2010年から20年の間に71%増加し、約110万丁に達している。

2017年のスモール・アームズ・サーベイによると、民間人が所持する銃器は1270万丁で、100人あたり34.7丁と推定されている。

保有者が多い地域

王立カナダ騎馬警察によると、2020年の使用許可証保有者は220万人余り。その多くは、人口密度が高いオンタリオ州とケベック州に集中していた。次いで許可証保有者が多いのは西部のアルバータ州とブリティッシュコロンビア州。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英サービスPMI4月改定値、約1年ぶり高水準 成長

ワールド

ノルウェー中銀、金利据え置き 引き締め長期化の可能

ワールド

トルコCPI、4月は前年比+69.8% 22年以来

ビジネス

ドル/円、一時152.75円 週初から3%超の円高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中