最新記事

ウクライナ情勢

G7とNATO、ウクライナへの軍事支援や対ロ制裁強化で合意

2022年3月25日(金)08時18分
左からバイデン米大統領、マクロン仏大統領、ジョンソン英首相

西側諸国の首脳は、1カ月に及んでいるロシアのウクライナ侵攻への対応を協議するため、ブリュッセルでNATO緊急首脳会議、G7首脳会議、およびEU首脳会議を開催し、ウクライナへの軍事支援拡大や対ロシア制裁強化で合意した。写真中央は左からバイデン米大統領、マクロン仏大統領、ジョンソン英首相。ブリュッセルで代表撮影(2022年 ロイター)

西側諸国の首脳は24日、1カ月に及んでいるロシアウクライナ侵攻への対応を協議するため、ブリュッセルで北大西洋条約機構(NATO)緊急首脳会議、主要7カ国(G7)首脳会議、および欧州連合(EU)首脳会議を開催し、ウクライナへの軍事支援拡大や対ロシア制裁強化で合意した。

NATOのストルテンベルグ事務総長は、NATO首脳がロシアに近い欧州東部の防衛力増強で合意し、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、スロバキアに4つの戦闘部隊を設置すると表明。共同声明で「ロシアの侵攻に反対し、ウクライナ政府と国民を支援し、全ての同盟国の安全を守るという決意においてわれわれは団結し、断固たる態度をとり続ける」とした。

米政府は、ロシアの防衛関連企業数十社のほか、数百人のロシア国家議員や国内最大の銀行の最高経営責任者(CEO)らに対し新たに制裁を科すと発表した。

英政府も追加制裁を発表。ロシアのラブロフ外相の親族も制裁対象となる。ジョンソン英首相は「プーチン大統領はレッドライン(越えてはならない一線)を超え、野蛮な行動に出ている」とし、制裁強化がウクライナへの支援強化や戦争終結に寄与するという認識を示した。

約360万人の市民がウクライナから国外に退去したと試算される中、G7は避難民を受け入れる用意があると言明。米政権は10億ドルの人道支援と、最大10万人のウクライナ避難民を受け入れる計画を表明した。

岸田文雄首相は、ロシアに対する追加制裁措置のほか、ウクライナと周辺国に1億ドルの追加人道支援を行うと表明した。

しかし、会談で打ち出された新たな確約には、ウクライナのゼレンスキー大統領が西側諸国に求めているロシア産エネルギーの全面的なボイコットやウクライナ上空の飛行禁止区域設定などは含まれていない。

ゼレンスキー大統領はNATO緊急首脳会議で行ったオンライン演説で、ロシアはポーランドを含むNATO加盟国も攻撃する恐れがあるとし、ウクライナに対する軍事支援の増強を要請した。

ロシア外務省は、西側諸国が会談で示した結束について、「キエフ政権」を武装化し、ウクライナでの紛争の継続を望んでいることが浮き彫りになったとコメントした。

バイデン米大統領

バイデン米大統領は記者会見で、プーチン大統領が化学兵器を使用すれば、「米国は対応する」と言明した。

ロシアを主要20カ国・地域(G20)から除外すべきかという質問に対しては、「私の答えはイエスだが、G20次第だ」と応じた。インドネシアなど他国が、G20からロシアを除外することに同意しなければ、G20会議にウクライナの参加を認めるべきという考えも示した。

ロシア軍の攻撃

ロシア軍の攻撃は続いているものの、ウクライナ国防省の報道官は、ウクライナ軍がキエフ周辺の一部地域からロシア軍を後退させたと述べた。ただ、ロシア側はキエフを包囲・掌握する望みを捨てていないという。

また、ウクライナ軍当局者は、ロシアがキエフのほか、北部チェルニヒウ、スムイ、ハリコフ、マリウポリ各都市掌握に向け、攻撃を再開しようとしていると述べた。

エネルギー依存

欧州がエネルギー面でロシアに大きく依存していることも会談での焦点となった。ロシアのプーチン大統領が「非友好国」に対し、天然ガスの支払いをルーブル建てで行うよう要求したことについてEU首脳らは供給契約に違反する恐れがあると指摘。スロベニアのヤンシャ首相は、欧州がロシアにルーブルで支払うことはないと強調した。

中国への警告

ロシアへの支援が懸念されている中国について、バイデン大統領は先週行われた習近平・中国国家主席とのオンライン会談で「中国がロシアを支援すればその結果に直面すると明確にした」とし、「中国経済の未来がロシアよりも西側諸国とはるかに密接に結びついていることを中国は理解している」と述べた。

NATOも、中国は「ロシアの戦争努力への支援をいかなる形であれ自粛し、ロシアの制裁回避を助けるいかなる行動も控えるべき」と警告した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ロシア戦車を破壊したウクライナ軍のトルコ製ドローンの映像が話題に
・「ロシア人よ、地獄へようこそ」ウクライナ市民のレジスタンスが始まった
・【まんがで分かる】プーチン最強伝説の嘘とホント
・【映像】ロシア軍戦車、民間人のクルマに砲撃 老夫婦が犠牲に


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長にウォーシュ氏かハセット

ビジネス

アングル:トランプ関税が生んだ新潮流、中国企業がベ

ワールド

アングル:米国などからトップ研究者誘致へ、カナダが

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、方向感欠く取引 来週の日銀
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナの選択肢は「一つ」
  • 4
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 5
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 8
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 9
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 7
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中