最新記事

経済制裁

G7、天然ガスのルーブル決済要求拒否 ロシア「支払いなければガスもなし」

2022年3月29日(火)14時57分
パイプラインとロシアルーブル紙幣のイメージ

先進7カ国(G7)のエネルギー相は28日、ロシアのプーチン大統領が要求した天然ガスのルーブル決済を拒否することで一致した。3月撮影されたパイプラインとロシアルーブル紙幣(2022 年 ロイター/File Photo)

主要7カ国(G7)のエネルギー相は28日、ロシアプーチン大統領が要求した天然ガスのルーブル決済を拒否することで一致した。

ロシアはガス輸出代金をルーブルで受け取る方法を策定しており、欧州諸国に無料でガスを供給するつもりはないとの立場を示した。

ドイツのハベック経済・気候保護相は記者団に対し「これは既存の契約に対する一方的かつ明確な違反であるとの認識でG7の全閣僚が一致した」と表明。「締結された契約は有効で、企業はそれを尊重すべきであり、また尊重しなければならない。ルーブルでの支払いは容認できないし、関連する企業はプーチン氏の要求に応じないよう求める」と強調した。

さらに「われわれを分断しようとするプーチン氏の試みは明白であるが、この大いなる団結と決意から分かるように、われわれは決して分断されることはない」とした。

ロシア通信(RIA)によると、ロシアのイワン・アブラモフ議員は、G7がルーブル決済を拒否すれば、供給が停止されるとの見方を示した。同議員は議会上院経済政策委員会のメンバー。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は「ロシアは天然ガスを無料で供給しない。(欧州の顧客に)慈善事業を行うことはできない」と表明。欧州がル-ブル決済を拒否すれば対応する姿勢を示した。

ペスコフ氏はその後放送された米PBSとのインタビューで、代金を支払わない顧客にはガス供給を止めるかと問われ、「支払いがなければガス(供給)もない」と答えた。

ただ、欧州諸国がルーブルでの支払いを拒否した場合の対応についてロシアはまだ最終決定していないとも述べた。

英国とオランダでは28日、ロシアからの供給を巡る懸念を背景に、ガス卸売価格が最大20%上昇した。

ロシア中央銀行、政府、および国営ガス会社のガスプロムは、31日までに天然ガス輸出のルーブル決済を巡る提案をプーチン大統領に提出する見通し。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ロシア戦車を破壊したウクライナ軍のトルコ製ドローンの映像が話題に
・「ロシア人よ、地獄へようこそ」ウクライナ市民のレジスタンスが始まった
・【まんがで分かる】プーチン最強伝説の嘘とホント
・【映像】ロシア軍戦車、民間人のクルマに砲撃 老夫婦が犠牲に


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インドネシア大統領、トランプ氏に「エリックに会える

ビジネス

イオン、3―8月期純利益は9.1%増 通期見通し据

ビジネス

アサヒGHD、決算発表を延期 サイバー攻撃によるシ

ビジネス

高島屋、営業益予想を上方修正 Jフロントは免税売上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃をめぐる大論争に発展
  • 4
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 9
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 10
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中