最新記事

経済制裁

EU、オルガルヒなど制裁の抜け道「ゴールデンパスポート」制度終了要請 ロシア人へのビザ販売停止も

2022年3月29日(火)10時12分
ブリュッセルのEU本部

欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は28日、EU各国政府に対し、加盟国が一定額の投資と引き換えに国籍を与える「ゴールデンパスポート」制度を終了するよう求めた。併せてロシア人とベラルーシ人へのビザ販売の停止も要請した。2018年1月、ブリュッセルで撮影(2022 年 ロイター/Francois Lenoir/File Photo)

欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は28日、EU各国政府に対し、加盟国が一定額の投資と引き換えに国籍を与える「ゴールデンパスポート」制度を終了するよう求めた。併せてロシア人とベラルーシ人へのビザ販売の停止も要請した。

EUが安全保障上のリスクと長年みなしてきた数十億ユーロ規模の市民権やビザ業界の縮小と規制を進めようとしている欧州議会の動きの一環。ロシアのウクライナ侵攻を巡るEUの制裁対象者がEUのゴールデンビザやパスポートを所持している可能性があるという懸念の中での動きとなる。

欧州委は28日、「制裁の対象となっている、あるいはウクライナでの戦争を顕著に支援しているロシアまたはベラルーシ国民の中には、これらの制度下でEU市民権を取得したり、シェンゲン協定が適用される地域内を自由に旅行したりできるなど、EUへの特権的なアクセスを得ている者がいる可能性がある」との声明を出した。

ロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、EUはロシア大統領府を支持したとして700人近い主要な政治家や実業家、軍人をブラックリストに載せてきた。

また、欧州委はパスポートを販売する既存の国家プログラムを直ちに終了するよう求めた。現在、マルタとキプロス、ブルガリアだけがこうした制度を導入しており、いずれも廃止を表明している。ブルガリア議会は、この制度の終了を決議したばかりだ。

欧州委は、制裁対象者がゴールデンパスポートやビザを持っているかどうかを各国政府がチェックすべきとも指摘した。

欧州委は、制裁対象者がこうした制度の受益者かどうかは不明としている。報道官はビザやパスポート購入者のリストを提供するようEU諸国に求めたかどうかについて明言を避けた。

欧州委は、各国がこうしたパスポートを無効にするかどうかを決定し、居住許可を直ちに撤回するべきだと言及した。

EUの複数の国がゴールデンビザ制度を実施しており、ゴールデンパスポート制度も手掛けていた。

欧州委はゴールデンビザ制度の終了は求めなかったものの、厳格にチェックしてロシア人とベラルーシ人に対する居住許可証の交付を停止するようEU各国政府に要請した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ロシア戦車を破壊したウクライナ軍のトルコ製ドローンの映像が話題に
・「ロシア人よ、地獄へようこそ」ウクライナ市民のレジスタンスが始まった
・【まんがで分かる】プーチン最強伝説の嘘とホント
・【映像】ロシア軍戦車、民間人のクルマに砲撃 老夫婦が犠牲に


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米デル10%安、AI最適化サーバーのコスト高騰や競

ワールド

トランプ氏、ハリス前米大統領の警護打ち切り=当局者

ビジネス

7月の米財貿易赤字、22%増の1036億ドル 輸入

ビジネス

独CPI、8月速報は前年比+2.1%に加速 予想上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界がうらやむ国」ノルウェーがハマった落とし穴
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    自らの力で「筋肉の扉」を開くために――「なかやまき…
  • 8
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 9
    「ガソリンスタンドに行列」...ウクライナの反撃が「…
  • 10
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 7
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 8
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 9
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中